Fitzcarraldo

めぐり逢えたらのFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

めぐり逢えたら(1993年製作の映画)
2.5
"An Affair to Remember"『めぐり逢い』(1957)をモチーフに、両親も姉妹も脚本家という脚本家一族であるNora Ephron脚本・監督作。

共同脚本に"Major League "(1989)の監督
David S. Ward。


冒頭から雑な人物紹介。

Tom Hanks演じる建築家のサム・ボールドウィンを、かなり強引に紹介していく。
嫁さんが亡くなって悲しいということは伝わるが…どんな夫婦関係を築いていたのかも、どんな親子関係を築いていたのかも、どんな教育方針で子供を躾ていたのかも、細かいことは全く教えてくれない。

とにかく勇み足で、亡き嫁さんとの思い出の場所であるシカゴを離れたいの一点張り。これはテンポがいいとはまた違うものなのでは?単に雑だなぁとしか思わない。

主人公の人物紹介を駆け足で通り過ぎ、オープニングのタイトルバック。

Jimmy Duranteの"As Time Goes By"が流れる。

単純にこの曲が素晴らしいから、ここまでの雑な展開も、まぁ別にいいか…と思えなくもないが…


ー18か月後。ボルティモア。

お次はロマンティックコメディの女王と呼ばれたMeg Ryan演じる新聞記者のアニー・リードの紹介。

こちらも負けじと随分と雑な印象。

Bill Pullman演じる婚約者ウォルターを連れ立ってアニーの実家のクリスマスパーティーへ向かうのだが…

アニー、ウォルター共に大量のクリスマスプレゼントが入ってるらしい紙袋を両手に抱えている。

この後の展開で、アニーとウォルターの2人を別々に帰したいという物語の都合上、[荷物が多いから2台で行く…]というこのクソ弱い理由を採用する。

いや…トランク使いなさいよ。
あと後部座席にも置けますよ。

撮影中になぜ誰もツッコまない?
本読みの段階で気づきそうなもんだが…

慌てて別々の車に乗り込む2人。

いや…トランク使いなさいよ。
まだまだ充分に空いてるよ。

こういうのは本当ちゃんとしてほしい。

2台で行くのはガソリンの無駄だし、なんなら効率も悪いし(信号などにより2人が揃って着かない可能性もある)、さらにこれが一番問題なのだが、実家に帰るのに2人が別々の車で来てる時点で、親御さんはきっと言うだろう…

「アナタたち仲悪いの?」と…。

親族の前で婚約の報告もする一大イベントなのに、別々の車で来たらさすがに言われると思うよ。

映画ではキチンと同時には着いたけど…
2人の職場から別々に直接向かうとかでよかった気がするけど。

婚約を親族に発表したハッピーな雰囲気なのだが…車2台で来たから当然別々に帰るよね。

「アナタたち2台で来たの?なんで?」

私の母なら、そう言うに違いない。

「あら~それで別々に帰るの?」

私の母なら、そう付け加えるだろう。


2台で実家に帰る必要性がね、ないんだよね全く。これはこの後の展開で、アニーに単独でラジオを聴かせたかっただけなんだけど…。それなら他のシチュエーションでもよかったんじゃない?

クリスマスというのが肝心なのかな?

よく意図はわからないが、とにかく2台で別々に帰ることに違和感が残る。

この時点で、すでに二人は馬が合わないんじゃない?と思ってしまう。

見ている側にそう感じさせたいのなら、成功とも言えるけど…。


アニー、車。

ひとりカーラジオを聴きながら帰路へ。

サムの息子ジョナが"クリスマス・イブの願い事"というテーマで生電話するラジオ番組を聴いているアニー。

妻を亡くし沈んでいる父親に電話を代わってくれとラジオパーソナリティの女性。

妻を亡くしたサムよりも、母を亡くした幼いジョナの方が落ち込んで然るべきはずなのに…なぜだか大人である父親よりも、幼い息子の方が気丈夫に振る舞っていることに非常に違和感を覚える。

こんな頼りない父親に、どこぞの女性が惹かれるんでしょうか?

母を亡くした子どもの心のケアをせずに、自分だけ塞ぎ込んでる男のどこが魅力的なんでしょうか?

同じ男として理解に苦しむ。
この男の良さが理解できない。

女性であればキュンとしてしまうのか?


サムとラジオパーソナリティの会話を、電話の子機で聞いているジョナ。

誰もが携帯電話を持つことが当たり前の時代になって固定電話を自宅に引き入れるところも少なくなった昨今において、親機と子機で電話の会話を盗み聞きするという行為も非常に懐かしい情景である。


パーソナリティ(ドクター)
「本当に誰かを愛した人は愛情豊かなのよ。奥さんと同じに別の人を愛せるのでは?」

サム
「そんなこと想像もできない」

パーソナリティ(ドクター)
「じゃ、どうするの?」

サム
「そうだな…毎日、朝になったら起きて、一日中、呼吸をする。そのうち努力しなくても毎朝ベッドを出て呼吸し続けるようになる。やがて幸せな日々があったことを、あまり思い出さなくなる」

ドクター
「奥さんにはどんな魅力が?」

このラジオを聴きながら涙を流すアニー。えぇ?なんで?どこに涙腺が引っかかったの?わからないんだけど…

精神が病んでらっしゃるの?
精神疾患。
そういう描写?
気が振れてしまった人にしか見えない。



Ray Charlesの"Somewhere over the rainbow" くそかっこいい!

こんな何でもないところで流すのがもったいない。



しゃっくりの治し方…

ジョナ
「砂糖をスプーン一杯舐めても効くよ」

この方法は初耳。
今度、誰かで試してみよう。



目の前の彼氏より、ラジオの声にこんなにも好きになるかね?2回も泣いてたけど…

マリッジブルーになって情緒不安定になってるだけだと自分なりに補完していくしかない。



Gene Autryの"Back in the saddle again"
この曲もいい。


ジョナが怖い夢を見たら、生前のママはJoe Cockerの"Bye Bye Blackbird"を歌ってくれたという…センスありすぎだろ⁈そんなママ。

そんは母の下で私も育ちたかった。


新しい女性と出会うサム。

この女性の笑い方…
これはどうしようもない。
笑い声はハイエナと表現するジョナ。

そういや何かの作品でも笑い方が酷い女性が描かれてたような…思い出せない。似たような笑い方だった気がする。

笑い方や笑い声…これは些細なことで、普段から女性に対して意識はしていないのだが、確かにンッ?となるような人はいる。

その場に出くわしてみて初めて嫌悪感が起こるから、なかなかそれを覚えておくことが難しい。



空港でハイエナ声の女性を見送るサムとジョナ。

婚約者に嘘をついてまでシカゴへ来たアニーが降り立つ。アニーに見惚れて後をついていくサム。

映画を見ている我々からしたら、2人は主役だからねぇ…特段なんとも思わないかもしれんけど…

空港でたまたま見かけた女性を追いかける行為は、普通に気持ち悪くないか?なぜサムはアニーだけに反応しているのか?単純に顔がタイプだから?それくらいしか理由がない!

単に主演だからでしょ?としか思えない。もう少し物語としての必然性を加味してほしかった。



え?空港に着いたアニー。そこから真っ先にサムの自宅へ行くけど…住所はどこで手に入れたんだっけ?探偵に頼んでた件?それで知ったの?あれ?そういや手紙もサムの自宅にどうやって送れたんだっけ?

探偵からの返答だとしたら、写真も依頼してるから顔は見てるよね?そしたら、空港で気づくよね?あれ?ラジオ局で聞いたんだっけ?

細かいことは気にしてはいけない。
サラリと流すのが正解。


いやそんな…サムとアニー、いきなり手を繋ぐのも気持ち悪い気がする。お互い見つめすぎだし…距離感おかしくないか?


Jimmy Durante
"Make someone happy"

Louis Armstrong
"A Kiss to Build a Dream On"


とにかくジャズの名曲が良き雰囲気を保つことを助けてる。これがなければ目も当てられなかったかも…


しかし、このトムハンクスの髪型…
若かりしウチの親父もこんなような髪型だった気がする。冷静と情熱の間ならぬ、パンチパーマとリーゼントの間。

くそダサい髪型は当時のトムハンクス意識してたのか?どうでもいいけど。
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