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メッカに向かってのmaiのレビュー・感想・評価

メッカに向かって(2017年製作の映画)
3.8
寄り添うって一言で言えても、実際にやろうとすると自分の時間や時にはお金を犠牲にしなくてはいけなくって、凄く難しいなぁと思いました。
おまけに、今回は異文化圏の相手で、宗教も違えば故郷も違うし、生活水準も違う。
そんな相手に寄り添うことって、本当に難しいんだなと思いました。

シリアからの難民家族のうち、奥さんが亡くなってしまい、共同墓地に埋葬したいけど
・メッカに向かって
・今後一切掘り起こさずに
埋葬することが条件なのにそれは出来ない…そこを何とか解決したい老人が奮闘するという話です。
難民の人達はスイスから一度出てしまえば、きっと2度とスイスに戻ることはできないんです。
生活をとるか?それとも奥さんへの愛を取るか?
あまりにも究極すぎます。
そして、最終的な答えは、棺桶だけシリアに送って形的には「遺体はシリアへ渡った」として、本当の遺体はスイスのどこか森の中にひっそりと埋める。
違法ですし、もしスイスから強制送還とかの形になれば2度と墓参りすることもできない。問題は一見解決したように見えるけど、実は新たな問題も出てきてしまうわけです。
このシーンのひとつ前の、子供たちが無邪気に遊ぶシーンと、このシーンのひとつ後の車が迎えに来るシーンが何とも意味深でさらにしんどくなりました。

きっとこういったテーマを扱うのって、あまり良しとはされてないのかもしれないですね…短編だからといっても、それでもかなり説明不足な気がしました。
さらっとは観れないし、ちゃんと観てたとしてもラストの意味合いを取り違えそうでしたし、一瞬「?」が頭に浮かびました。
でも、伝えたいメッセージは凄く伝わってきました。
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