タケオ

ジョン・ウィック:コンセクエンスのタケオのレビュー・感想・評価

3.3
-キアヌ・リーヴスと「なんかカッコいいもの」の集大成!『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(23年)-

 映画冒頭、モロッコの雄大な砂漠で、大きな太陽をバックに地平線から馬を駆る男たちが現れる。言う迄もなく『アラビアのロレンス』(62年)へのオマージュだ。しかし、一体なぜ唐突にデヴィッド・リーン?答えは簡単───なんかカッコいいからだ。
 そんなわけで、製作陣の考える「なんかカッコいいもの」をひたすら追及し続けてきた『ジョン・ウィック』シリーズも本作でついに最終章。キアヌ・リーヴス主演で製作できるのもこれが最後とあってか、製作陣の思い付くかぎりの「なんかカッコいいもの」を全てぶち込んだ前代未聞の超大作となっており、上映時間も169分とシリーズ最長である(初期編集版は225分だったとのこと)。『アラビアのロレンス』の他、『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66年)『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(68年)『ウォリアーズ』(79年)などなど、製作陣の考える「なんかカッコいい映画」へのオマージュも盛り沢山。くわえて、キアヌ・リーヴス自身による過去作へのセルフ・オマージュも目を引く。映画中盤での『マトリックス レボリューションズ』(03年)のラストバトルの再現にも驚かされるが、本作のクライマックスで盲目の殺し屋ケイン(ドニー・イェン)がジョン(キアヌ・リーヴス)に囁く「来世で会おう、兄弟」という台詞にいたっては、なんと『ハートブルー』(91年)のボディ(パトリック・スウェイジ)の台詞と全く同じだ。本作はキアヌ・リーヴス自身にとっての集大成的な作品でもあるのだろう。
 とはいえ、いくらなんでも色々とぶち込みすぎである。マキシマリズム的なアプローチが一概に悪いとはいわないが、過剰に過剰を重ねたアクションの連続のせいで、全体的にやや平坦な印象を受ける。中盤からは退屈すら覚えてしまった。工夫を凝らしたアクションは観ていて楽しい。とはいえ、やはり映画にはある程度の起伏というものが必要だと思うのだが・・・。
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