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ジョン・ウィック:コンセクエンスのsyuheiのレビュー・感想・評価

3.0
2023年のチャド・スタエルスキ監督作品。

裏社会の掟を破りお尋ね者となったジョン・ウィックは刺客たちに命を狙われる日々。裏稼業を牛耳る主席連合のグラモン侯爵はジョンの旧友ケインを脅して襲わせたりNYCの拠点ホテルを爆破したりと異常な執着を見せる。大阪に身を潜めたジョンはシマヅと協力し連合から解放されるための計画を練るが…。

スタイリッシュなアクションとコリオグラフィー、アーティスティックで美しい様式的な画面が魅力のシリーズ第4弾でおそらくは最終作。ドニー・イェン演じる旧友ケイン、真田広之演じるシマヅ、そしてローレンス・フィッシュバーン演じるキングという新たなキャラクターが脇を固める。

画面の美しさはシリーズ最高レベルで、とても美しいアクション映画に仕上がっているのは間違いないし、アクションも凝りに凝っている。これを169分という長尺で映画にしたというだけでも驚き。途方もない労力、時間、お金がじゃぶじゃぶ注ぎ込まれた、実に贅沢な映画だと思う。

しかし、美しいアクションと比べてストーリーラインがどうにも弱い、というか退屈だ。要はジョンが追われて戦って逃げてという構図を繰り返しているだけなのでスタイリッシュなアクションシーンの物語的必然性が薄いため、だんだん演舞を見せられている気分になる。カッコいいけど話がつまらない。

裏社会の掟や儀式は笑ってしまうほど様式化されていて、それはそれで面白いけどあまりに多用されるため劇映画というよりゲームみたい。建物構造を俯瞰したアクションシーンはまさにTVゲーム的。アクションに物語を推進させキャラクターを物語らせるぞという制作陣の気概は買うけど中盤であくびが出た。

新キャラも既視感ばかり。ドニー・イェン演じる盲目の剣士ケインはローグワンのチアルートそのまんまだし、ローレンス・フィッシュバーンのキングはマトリックスのモーフィアスだ。実際、キングはジョン(キアヌ)との会話でマトリックスオマージュをやってくれるんだが映画の没入感は薄らぐばかり。

アクションや銃器が大好きという人にはたまらない映画なのかもしれないけど物語で楽しみたい俺には退屈だった。元々ジョンはリベンジヒーローでそこにキャラクターとしての深みもあったのに本作ではアクション見本市のコンパニオンの1人になってしまった。画面の美しさとかっこよさで星0.5おまけ。

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