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ヤクザと家族 The Familyのmasayaのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.2
 平成から令和、時代の流れに取り残されて衰退しゆくヤクザに理想化された家族を見出した孤独な男。家族に殉じて刑期を過ごした彼の空白の年月は、彼と彼の愛する者たちから容赦なく居場所を奪っていた。綾野剛-オノマチという最強カップルに惹かれて観て大当たりの重厚人間ドラマ。
 3つの時代を辿る構成で、綾野剛が演じる山本がどんどん色気を増していくのは想像通りだったけど、舘ひろしの親父さんが凄味あるトップの背中から老いて小さくなった姿に変貌する様が社会における立ち位置の変化とクロスオーバーして切なかった。
 「花束みたいな恋をした」からの連続視聴で情緒が大丈夫かと思ったけど、経済優位の無慈悲な時代の到来に社会の余白を見つけて生きてきた者達が窒息させられていく物語で、家族という定形ない物に息継ぎする場所を探そうとする話で、静岡の海が終わりの始まりを見届ける意外と共通点の多い2作品だった。
 観始めてから暴力描写無理なんだって思い出して、序盤の痛そうなところで頭の中ノットフォーミー警報が鳴りまくってたんだけど、山本と親父さん、山本と中村の兄貴、弟分達とのそれぞれの繋がりが描かれていくにつれ関係性マニアの俺のための映画だと確信しました。

 あと糸子周防カップルの再現だけでなく勝さんも出てきてスクリーン内がカーネーション同窓会だった。
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