kazata

Summer of 85のkazataのレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
3.0
フランソワ・オゾン監督版『マイ・プライベート・アイダホ』かと思ったら……思春期少年のあるひと夏の青春恋物語&"coming of age"映画でした。
(ベルギー映画『North Sea Texas』に近い印象かな…)

"ある死体"についてのモノローグで始まったり、やたらと「ピラミッドのミイラが…」とか「俺が死んだら墓の上で踊ってくれ…」な約束とかが繰り返されるのは何なんだ!?……と思ったら、オゾン監督自身が10代の頃にハマったという小説「おれの墓で踊れ」の映画化だったから。
なるほど、思春期男子特有の恋憧れとか過剰な思い込みや幻想がそつなく表現されていたんじゃないでしょうか。

欲を言えば、主人公少年アレックスが恋に落ちる相手ダヴィドにはもっと"刹那感"(今にも消えてしまいそうな危うさ)を感じたかったところだけども!
(その刹那感が無いおかげでドラッグやHIVと無縁という健全なBLになっていて、これはこれで同時代的=一般的な青春恋愛物語って感じもするからいいのか…)
(刹那さ=バイクなんだろうけど…)

あとは、「全くエモさが感じられない」(客観的な視点重視)のは映画の構造上の問題=回想形式だからかな……って思ったけど、いやいやドラン監督(orガス・ヴァン・サント監督)だったらもっとエモく描けるっしょ!
(巨匠アンドレ・テシネ監督もエモさを重視するかも…)
(この辺は個人的な趣味の問題だけど、この手の物語には多少のエモさが欲しい派なんで……その点、本作はルカ・グァダニーノ監督作『君の名前で僕を呼んで』寄り=今っぽい"淡々と描写系"になるのかな)

そうそう、ドレスを着て自転車に乗るシーンはオゾン監督の初期短編『サマードレス』を思い出せて良き!

毒々しいオゾン監督作が好き派な自分には、良くも悪くも本作は"キレイ過ぎ"な気がしました。。。

(主役に抜擢されたフェリックス・ルフェーヴルくんの雰囲気がまさに『クリミナル・ラヴァーズ』の頃のジェレミー・レニエで……オゾン監督の相変わらずな美少年センスがナイス!笑)
kazata

kazata