戦禍から逃れ故郷・アフガニスタンを出たアミン。ロシアからデンマークへ、その旅の足取りは暗く重たいものだった。難民として生きる彼が、順応するにつれ母国語さえも忘れてしまうことに時の流れとやるせなさを感じる。そして抜け出してもなお、心に残る恐怖。いつ密告されるかわからない不安を抱え、誰にも明かせずに生きていくことの辛さに胸が締めつけられるような思いがした。
難民としてのアミンの生き方と、ゲイとしての彼のアイデンティティにフォーカスしたこの作品は個人を守るためにアニメーションを用いている。しかし時折流れる実際の映像がドキュメンタリーとしての要素を与え、観る側にリアルを伝えてくれる。斬新な手法でありながら、とても興味深い。
今ウクライナで起きていることとリンクするところが多くて、ずっと泣きながら観ていた。ロシアの警察の姿もある。よくわからない情報に惑わされている人は、この作品をぜひ観てほしい。
