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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのdramaticgasのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ポップカルチャーの金字塔を超え、モダンアートの領域までに達した圧倒的なビジュアルパワー✖️60年を超えるスパイダーマンの歴史を塗り替え、スパイダーマンとは何か(そしてヒーローとは何か)をアップデートしようとする特異点(シンギュラリティ)的超絶大傑作ムービー。

異なるキャラクターを異なるタッチとスタイルで描く前作の手法を進化させ、異なるタッチとスタイルでそれぞれのバースが描かれ、そこに更に異なるタッチ&スタイルのキャラクターが現れてヌルヌルとアクションするのは、控えめに言ってもクレイジーすぎる。

前作から続くマイルスのグローイングペインなティーンエイジヒーローのストーリーは、お馴染みのクールでポップなバースを舞台に描かれていて、並行してプレイされるグウェンのエモいストーリーは(原作コミックのイメージを踏襲した)水彩調のエモいアートのバースで展開し、それは美しく芸術作品のようですらある。

マイルスのストーリーは、彼が(他の誰かが決めた)ルールに贖い、運命(カノンイベント)に立ち向かって自分のストーリーを紡ぐことを決心したところで、宿敵(アイアムユ…)と対峙してto be continued…という超王道クリフハンガーで終わるけど、(本作のもう1人の主人公)グウェンのストーリーは、ソロでスタートして、傷つきながら運命に逆らい、バンドが結成されて終わる。だから全体の後味(鑑賞後感)は超スッキリで、でも次作への引きは超強い。三部作の二作目としては「帝国の逆襲」レベルか、もしかしたら超えてしまってるかもというくらい見事な幕の下ろし方だった。

本作におけるスパイディのアクションはどれも素晴らしく、あらゆるスパイダーマンの創作物の中でも最高峰なものだと言っても過言ではない。わけてもマイルスとグウェンがウェブスイングでニューヨークを巡るシークエンスは、あの印象的すぎるアップサイドダウンな締め方も含め、アメイジングだった。

兎に角、全員100回観ろ!そしてビヨンドの公開前にあと100回観ろ!