荒野の狼

ウルフ・アワーの荒野の狼のレビュー・感想・評価

ウルフ・アワー(2019年製作の映画)
5.0
ナオミ•ワッツ50才、「私もここで一発」と彼女が思ったかどうかは、わかりませんが、これまで演じてきた、いわゆる女優然とした作品ばかりじゃなく、「自分がやってみたかった自己表現」に挑戦、みたいな異色ともいうべき映画である。ナオミ•ワッツという私を、いわば「標本箱」に入れ、表情はもちろん一挙手一投足を晒し、それを堪能してもらいたい。そういう意気込みが、出だしのスッピン顔から迸(ほとばし)っている。それは例えば小説家が小説を書くように、他から指図される事なく自分で自分を描いてみたいといった欲求である。だから、殆ど一人芝居作品と言っていい。彼女に関与してくるいろんな種類の人間(あるいはブザー音や窓の外の喧騒)は、「手負(ておい)の狼」である彼女の演技のための小道具にすぎない。さらに一応、あるにはある筋立ても映画を成り立たせるための大道具みたいなものである。それゆえ皆さんがそれなりに期待した映画にはなろうはずもなく、低評価なのは至極当然だけれど、いつものナオミ•ワッツを見せる気など彼女にはさらさら無い。おそらくライバルであるニコール•キッドマンに観てもらう為だけでいい映画だったんじゃないかと、私は思った。キッドマンのナオミ評価は如何に? もちろん私は、こんなナオミに脱帽である。こうゆう映画に満点をつけない理由がどこにあろう。
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