彦次郎

ウルフ・アワーの彦次郎のレビュー・感想・評価

ウルフ・アワー(2019年製作の映画)
2.6
1977年のニューヨーク大停電と暴動を女性引きこもり作家ューンの日常を絡めて描いたドラマ。
引きこもりといっても、食糧も全て配達してもらっていますが親友が訪ねてきたり、男をデリバリーしたりするところは日本とは違い恵まれているような気もします。
ジャケットにはマインドブレイク・スリラーとありますがベルの音を鳴らす人物の正体が不明かつ殺人鬼も姿を現さずニューヨーク大停電も暴動もそこまで盛り上がらない(ある意味リアルではある)展開という視聴者のマインドを破壊する斬新さでした。とはいえベルの音の嫌がらせで通報にくる警官が見返りに体要求してくるのは独身女性にとってはスリラーでしょう。ジャンル的にはスリラーというより女性作家の日常のスケッチと心象風景を描いたものに該当するかと思われます。当時のニューヨークを過ごした方には感慨深い作品なのかもしれません。

余談。
ラジオから流れる「サムの息子」はデビッド・バーコウィッツという6人を殺害し8人に重軽傷を負わせた人物。マスコミとかに送り付けたのが名前の由来です。懲役365年で現在(2023年6月)も模範囚として服役中。日本での関わりとしては少年Aが『絶歌』なる本を出版したときに「サムの息子法」(犯罪者が自らの事件の暴露で得た収入は被害者救済に充てなければならないとする法律)が言及されたことではないでしょうか。
彦次郎

彦次郎