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秋桜 コスモスのqpのレビュー・感想・評価

秋桜 コスモス(1997年製作の映画)
4.0
 もうエイズになってしまっている明子がブラジルから故郷の福島に帰ってきて、親友の夏実や家族と一緒に社会の偏見に格闘する作品です。

 エイズ患者と彼女に対する偏見を現実的な描写で描きます。映画内のシーンの描き方や登場人物の雰囲気が現代風ではなく、少し昔に感じました。そのため、エイズに対する偏見を考えることができるようになっていますが、現代のエイズに対する偏見は変化しているのかなと考えてしまいました。

 偏見は良くないとしても、クラスの親や夏実の父親、学級委員長、明子の母親の仕事先の社長の気持ちもよくわかります。エイズに対する正確な知識を広めていくと同時に、エイズになっても誰もがオープンに言える雰囲気作りが大切だと思います。

 たとえ病気でも、支えてくれる家族、親友、教員がいれば、気の紛らわしになるし、楽しめるのかなー思いました。特に、周囲を敵に回しても手を差し伸べてくれる夏実の言動には感動できます。社会の価値観を変えることは無理でも、自分がエイズになれば夏実のような存在の人が嬉しいし、逆に、エイズの人が周りにいれば、夏実のような人になれればと思います。

 演技や映画内での雰囲気はいまいちな印象を受けましたが、エイズに対するきれいごとなしでリアリティに描き、明子と彼女に関わる人々の描き方は良いと思いました。
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