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エノーラ・ホームズの事件簿のkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『エノーラ・ホームズの事件簿』
原題Enola Holmes.
製作年2020年。上映時間123分。

名探偵シャーロック・ホームズに妹がいたという設定で描かれ人気を集める、アメリカの作家ナンシー・スプリンガーの小説シリーズを、Netflixが映画化したミステリーアドベンチャー。

ミリー・ボビー・ブラウンが主演。
兄ちゃんで名探偵のシャーロックをヘンリー・カビル、もう一人の兄ちゃんマイクロフトをサム・クラフリン、母ちゃんユードリアをヘレナ・ボナム・カーターが演じる。

1884年、イギリス。
16歳の誕生日を迎えたエノーラが目を覚ますと、母ちゃんが謎めいた暗号を残して行方不明になっていた。
母ちゃんを探しに単身ロンドンへ向かったエノーラは、思いがけず青年貴族の失踪事件に関わったことをきっかけに、恐ろしい陰謀と巨大な謎に巻き込まれていく。

スピンオフを作って欲しい作品は多々ある。
スピンオフてのは、『副産物』を意味する英語表現であり、日本語ではマンガ作品や映画・テレビドラマなどの設定や世界観を引き継ぎつつ、直接的な続編とは位置づけられない、いわば『外伝』的な派生作品を指す意味で用いられることの多い言葉だそうです。

例えば、横溝正史が描く金田一耕助のスピンオフ的な位置付けの『金田一少年の事件簿』とか、
ちょい前にハマったドラマ『ビッグバン★セオリー』に登場した主人公の一人シェルドン・クーパーの少年時代を描くスピンオフシリーズ『ヤング・シェルドン』だとか、
『バットマン』における『キャットウーマン』こりゃ頂けんかったが、
『人造人間キカイダー』における『人造人間ハカイダー』ビジュアルは最高やったが、
『キン肉マン』における『闘将!!拉麵男』😆と枚挙に暇がない。
人気を博した作品のキャラを立たせてスピンオフを作って欲しいって願いは人それぞれ作品を持たれてると思う。

個人的にはジャッキーチェン映画にでてくる袁小田が演じる蘇乞兒(蘇化子そかし)の物語がみたいかな。
しかも、今は亡き袁小田が演じるのをみたいしCG使わなきゃ難しいやろけど。

『ストレンジャー・シングス』の少女イレブン役が、シャーロック・ホームズの妹役やと違和感あるかなぁと思たけど、彼女は、エノーラ・ホームズをはつらつと演じ、激しい拷問を受けた子供以上の存在であることを証明している。
これは思春期の男女子をターゲットにした映画かとは思うが、おっさんがみても楽しめた。
シャーロック・ホームズは好きで、小説物語から、ラスボーン版や、フロイトに治療されるジャンキーなホームズから、また、優秀なワトソンを前にしたバカなホームズ、その他に色んなバリエーション(もちろん、ジーン・ワイルダーの個人的に苦手なモノも含め)を見たり読んだりしてきた。
そして、今作品は、妹が登場するのも新しい試みやけど、意外にも成功しているをちゃうかな。
ミリー・ボビー・ブラウンが、魅力的で型破りなエノーラを見事に演じてたし、彼女は、カメラに向かっておしゃべりし、冒険に真っ向勝負を挑んでる感が伝わってきた。
今作品は私的ながら楽しくて、時代感覚に富んでて、安定した速度で進んでいきたした。
また、ヘンリー・カヴィルは、かなり夢見がちなホームズを見事に演じているかな。
多くのホームズのバリエーションと同様に(しかし、一般に、非常に焦点を絞った物語とは異なり)。
エノーラ・ホームズは、行方不明の母ちゃんに関わる謎と、鼻持ちならん奴らを中心とした謎の2つを並行して提供してる。
どちらも筋立てはやや散漫やけど、十分に楽しめました。
シャーロックの観点から見た最大の欠点は、マイクロフトかな。
彼は、ホームズのさらに優秀だが定住している兄としてではなく、普通の知能を持つ当たり障りのないビジネスマンとして描かれている。
ホームズ神話にアイデアを加えることには賛成やけど、面白いキャラを退屈な敵役にしてしまうことには、何の意味もないと思う。
それでも、些細な癪に障ちまう。
続編があればみるだろうし、続編が作られることを望むかな。
面白い作品でした。
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