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おとなの事情 スマホをのぞいたらのipのレビュー・感想・評価

4.0
1を2にするより、0を1にすることの方が難しいとはよく言われるが、リメイクでも作り込めば偉業なんだなと。リメイク作の中では日本版が一番良かったかも。日本語の会話らしくツッコミとか入って、シリアスさの中にコミカルさを入れるシュールさを出せていた。
もちろん僕の中で大絶賛だったイタリア版には及ばないが。

脚本家は登場人物の時系列を全部握っていて、映画の約100分で何を見せるかだけでなく、隠し方も上手い。
ただ一点、オリジナル要素である7人のつながりが終盤語られるが、全員が当事者なのに知らない人に話すかのような語り口はとても不自然だった。

キャラクターの性格や人間性は徹底して作られていた。細かい行動や言葉選びみたいなのにも各人物のパーソナリティが現れていて、皆さんの役作りには感服。
特に庶民的で差別的な一面もある常盤貴子さんの役って、理想的な人ではないけどよくいる主婦層ってこうだよなっていうのを演じていた。

事件を詰め込みまくっていて、ちょっと欲張りすぎたかなという全体の構図。スティーブ・ジョブズから電話がかかってきた原作のように、なんでもない着信なんかでバランスが取られていないので、やや重め。
原作の良さでいえば、ゲームを言い出した木南晴夏がオチなら良かったのになぁ。後ろめたいことが何もない人がいたら成り立たない気が。

一番不自然だったのは、7人全員が同じ機種なんてiPhoneとかでない限りあり得ないだろ。協賛:XPERIAの文字を見たときから嫌な予感はしていたが。
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