このような良作が、このサイトでは駄作並みの点数が付けられているのは大変残念。
'06年のレバノン侵攻の時、ベイルートから南部に住む父を迎えに行った息子が、始まった停戦破りの爆撃と車の盗難で訪れた家に釘付けになってしまう。
最初は空爆、そして上階にやってきイスラエル兵によって決定的に出られなくなり、息を潜め存在を隠し3日を過ごすことに。
爆撃や銃撃、イスラエル兵までもはっきりは見えず、その音によって脅かされる恐怖を表現する。
この目に見えない恐怖は、時にその度合いを増す効果があって、本作は正にそれで戦争の恐ろしさと絶望感を表している。
ただ一部屋の悲劇を描きつつ、その向こうに民族、宗教、政治…といった特に中東では普遍的な軋轢や断絶、憎悪を感じていく構成はとても巧みだと感じる。
冒頭の手品。
無いと思った所から現れる。有ると見えた物は存在しない。
”平和”や”平安”はどちらだろうか。