ネブュラー

ノマドランドのネブュラーのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
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ノマドの景色から見える可能性。経済格差、経済危機などの社会的背景が推進してしまったノマド的生き方は、100年時代を全うしなければいけないより若い世代の一つの選択肢な気がする。季節労働だけではなく、インターネットで繋がったフリーランス的働き方。そういう意味では、なかなかに羨ましい生き方というか、ポジティブな側面が映像上で垣間見えるような今作。
ゆるキャンなどにも代表されるように、このご時世のアウトドアに純粋に惹かれる自然との共生は、生活するとなればとても不便であり、サバイブな感覚で向き合う必要があると、本作は厳しいワイルドライフを描きながら、閉塞感からの解放、非合理の中で生きる喜び、生の実感さえ際立たせる。
実際のノマドワーカーたちが語る言葉は、説得力に溢れ、過去の重い思い出を同時に抱えながら、それでも自分なりに生きていくという希望に溢れている。
マクドーマンドがバランサーとして、良い側面、悪い側面を如実に体現するのだが、自由や欲求を素直に追い求める姿にも見える。つまり、その生き方に追いやられたものの、自ら異なる生き方を選択できるにもかかわらず、自ら車上生活を選択している姿が象徴的である。
さよならという概念の喪失、ローリンローリンで変化しながら、広がり続けるアメーバなコミュニティ。偶然性が与える出会い、気づきや喜びの連鎖が、インターネットを介してでは体験できないような生と死の実感に溢れていると、このコミュニティのあり方や本作の波風立たない凪のような脚本が、ただそのリアルを浮き彫りにするかのよう。鑑賞者の価値観が作品の受け取り方を大きく左右する作品、ドキュメンタリーに近い。
ノマドランドとは、個人的にはソウルフルワールドでもあり、真っ当な一つの価値観だと思う。
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