NAOKI

ニューオーダーのNAOKIのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
3.9
拘束されてた人々が外に連れ出されて後ろ手に縛られたまま横一列に並ばされる。
端の1人から「タン!」と乾いた銃声と共に前のめりに倒れる…「ドサッ」
後頭部を銃で1発…だんだんこちらに近づいてくる。もしこんな状況に自分が陥ったらどう感じるだろう?と思う。
「あぁおれは死ぬのか…死にたくない…えと…えと…」
「タン!」ドサッ

その人たちには悪人もいればおそらく冤罪の人も…共通点は革命が起こって政権が転覆したタイミングに牢屋にいたというだけ…

そのまま釈放されても不思議はないくらい意味のわからない「事務的処理」のような処刑…

終わるとバシャバシャとガソリンをかけられて燃やされて…終わりだ。

あまりに事務的で無意味すぎて胸が悪くなる…


映画って夢だよね…
現実ではあり得ない物語を見せてくれる。
たとえそれが悲劇的なお話でもそこには色々なメッセージが込められていておれたちの心を揺さぶる!
だから映画は面白いよね!ってたいていの映画ファンは思ってるはず…
そんな映画ファン心理を逆手にとった映画も存在する。観客が思ってるようにはストーリーが進まない…あまりのことに激怒することも…
いわゆる胸糞映画ってやつ…

でもこの「胸糞」という言葉にはまだ娯楽的な感じも含まれていますよね…寝取られAVにだって使われる言葉です。そういう意味ではこの映画は胸糞映画ですらありません。

ただひたすら革命によって国の政権が入れ替わる時…何が起こっているのかをそのまま描いているだけです。

絶対絶命のピンチにヒーローが助けに来てくれる…
悪いやつは結局最後にはやられてしまう…
善人は苦しむけれど最後には報われる…

そんな映画的ご都合主義は一切登場しません…

「お前ら日本人みたいな平和ボケしたやつは能天気な映画観て喜んでるだろうけどリアルな世の中はこれだぜ」って言われてるみたいに…

ほらもうすぐあんたの番ですよ…
タン!ドサッ…タン!ドサッ…

タン!!
NAOKI

NAOKI