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フローズン・ストームのYSKのレビュー・感想・評価

フローズン・ストーム(2020年製作の映画)
1.0
小説家をしている妻のサイン会のためにノルウェーを訪れた夫婦が、大寒波によって車内に閉じ込められてしまった…というお話
ジャケットには「なぜ車内に閉じ込められたのか」とありますが、答えは簡単バカだからです

ジャケットでもそして作品の冒頭でも「実話」ということを殊更に強調してきますが、恐らくですがこれは余りの嘘と余りの酷さと余りの無能さへの批判・批難を避けるために用意された嘘なのではないかとすら思います

ある朝車内で目覚めた夫婦が降り積もった雪と凍り付いたドアのせいで車に閉じ込められたとわかるシーンからはじまりますが、間違いなく氷点下を下回っている気温の中で暖房ひとつつけずに眠れるものでしょうか?もしエンジンをかけてエアコンをつけていたら雪でマフラーが塞がり一酸化炭素中毒で死んでいるでしょうからその線はなしです

その後は当然のように口汚く罵りあうシーンが続くわけですが、多少ヒステリックになったとて今すぐにでも車を飛び出し助けを呼ぼうとする妻と、頑なに外に出ることを拒否し車内で助けを待とうと譲らない夫のどちらが正しいのでしょう
残りわずかなバッテリーで偶然にも実家と電話がつながったのに「助けて」と叫ぶだけで通話が切れてしまった妻と、仕事を解雇されたことを黙ったままでやりすごそうとした夫のどちらがまともなのでしょう

そしてここからが大問題なのですが、なんとこの作品…28日間も閉じ込められたままなのです!
その間車のドアは開きませんし開けようともしません、空港からホテルへ向かう途中でしたから食料があるはずもなく、どうやって生活していたというのでしょう
そして目が覚めた直後にこそ妻が小便を催したシーンがありましたが、その後の28日間は糞も尿もどう処理していたのか、草木も凍る気温だとしても出るものは出るし出たら匂いもするでしょうがそんなシーンは一切ありません

さらに出産を控えていた妻は、21日目を過ぎたころにとうとう子を産みます
そしてそれと入れ替わるように夫が亡くなってしまいました
しかし子を産み守るものができた妻にへこたれている時間はありません
子に母乳を与えたくとも栄養不足により一滴も出せない妻は自らの胎盤をひとかじり、すると何ということでしょう!母乳が出るようになったではありませんか!
コーヒーメーカーじゃないんだから口に入れたとたんに出るわけがないだろ!
先に亡くなった夫を食べて栄養を補給したら一部の方が絶賛してくれたでしょうに勿体ないことです

実話に着想を得て脚色したといっても明らかに盛りすぎ、ウソのかたまりです
『テベ・コンヒーロ』の『小梅太夫で笑ったら即芸人引退スペシャル』でも、「偏差値の低い高校に入ったら先生がチンパンジーでした」というコウメ日記におぎやはぎが「ウソはいかん」と怒っていました、つまりそういうことです
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