かぶき

海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版のかぶきのレビュー・感想・評価

4.8
全編モリコーネの劇伴と、トルナトーレらしいアングル、カメラワーク、美術のハーモニーが冴え渡っている。
イタリアらしいユーモアも楽しい。

割れたレコード盤を繋ぎ合わせる
記録だったものを記憶に残そうとすること。
事実は歪曲し、風化するが、それでもなおその美しさ(過去の大切な想い出)を忘れまいとする意志。
地上に降り、音楽家の道を諦めてなお、何かを手放さないマックスの心であろうか。。。

主人公二人の出会いやジャズバトルも見事だが、特に1900が窓の外の娘に一目惚れするシーンのキマリ方がハンパじゃない。
そのシーンの画としての美しさそのものに心揺さぶられ、涙が止まらなかった。なんと音楽的であり、詩的であり、映画的なシーンであろうか。

そこからの
ラストの別れのシーンはもう泣き腫らして、映画が終わってからもしばらく放心していた。
人物達の心意気が気持ち良い。
追い出し喰らわなければ、あと10分は放心できた。

(個人的には、船の爆破はもっとガチで撮って欲しかったが)スクリーンで観れて良かった。
かぶき

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