富樫鉄火

ルーブル美術館の夜 ―ダ・ヴィンチ没後500年展の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

3.5
これほどの名画を、間近で、細密に見ることはありえないので、たいへん面白かった。
下絵を一緒に見せてくれるので、制作過程がわかって、興味深かった。
特に「聖アンナと聖母子」の、下絵と完成(正確には未完成)とのちがいなど、感動的だった。
しかし、ほかでも指摘が多いが、長まわしと、ゆったりしたカメラワークのせいで、睡魔に襲われないひとは、めったにいないと思う。
わたしも、危なかった。
これには、音楽にも責任があると思う。
あの素晴らしい画面に、実にありきたりなクラシックのムード風音楽では、眠くなるのも無理はない。
エンド・クレジットで、ジャック・ルーシェ・トリオの、バッハ「パッサカリア」が流れていたが、彼らの音源を使えるのだったら、全編をジャック・ルーシェの、緩急さまざまなバッハで通してほしかった。
画面と音楽が対話するような効果が生まれ、睡魔など、吹き飛ばしただろう。
むかし、NHKが制作放送した、ルーヴル美術館のドキュメント特集が懐かしい。
司会がジャンヌ・モロー、音楽がエンニオ・モリコーネだった(旧作の使いまわしだが、素晴らしい音楽だった)。
富樫鉄火

富樫鉄火