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シャザム!~神々の怒り〜のすずやのレビュー・感想・評価

シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)
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とにかく、2010年代をティーンエイジャーとして生きた世代のサブカルネタを存分に盛り込んでるな…という印象があって、世代ど真ん中の私は完全に撃ち抜かれてしまった。「ロードオブザリング」や「ゲームオブスローンズ」や…(これで「ハンガーゲーム」もあったら完璧だった) あと、私の世代の一定数の洋画オタクはもれなく皆「パーシージャクソン」を通ってギリシャ神話の知識を少なからず持ってると思うのだけど、その辺の知識も存分に活きてたな~と思った。地球を支えるアトラス、迷宮の怪物ミノタウロス、あとアンブロシアな…この辺のワードが出てきてアッと思う方は多分好きだと思う。
あととにかく今回はフレディが良かった…JDGが好きでシャザムを見たから彼の活躍シーンが1作目にまして多かったのが本当に嬉しかった。1作目で唯一引っかかったのがフレディがやたらと理不尽だったことだから、なお良くて…JDGのキャリア的にも、やっぱ『僕らのままで』が間に挟まったことで相当演技にも磨きがかかったなあという印象があった。『あの夏のルカ』のJDGが一番好きなのは変わらないけれど、彼の持ち味のランダムで幅の広い感情の表現が前作以上に活きてて凄く良かった。ヒーローになりたくてめいっぱい背伸びしたり、アンテアの優しさと笑顔に一喜一憂したり、束縛気味のビリーに嫌な顔したり、それでもビリーを想って一緒にいようとして失敗したり、正義感に流されて無茶したり、そんな魅力に溢れたフレディが大好きだし、この映画の1番好きなところでもある。
今回初登場のレイチェル・ゼグラーもなかなかよかった。アンテアとフレディのロマンスパートに関しては、要る?と思う部分が正直結構あるけれど、まあ、それは私の見方の問題かなと思う。JDGのオープンリーバイセクシャルの役者としての側面はどれほど役に反映されてんかな…というのは二人の演技を見ながら思った。フレディは分からないけどアンテアはバイセクシャルのキャラクターだろうなと描写から推察してたが…少なからず役者自身の属性から反映されてる部分はあるはずだと思うきっと… レイチェル・ゼグラー、今度「ハンガーゲーム」の新作でも見られるってことですごく楽しみにしてる。
ストーリー、冒頭からずっとぶっ飛ばしてるからなんか息を付けるタイミングが全然ないのはちょっときつかったかも。

ただ、ふとなんかこの話、神の娘たちが襲来しなくても作れたよな…と思ってしまった。
"シャザム"中毒気味の兄弟たち、とりわけそれによってみなのコントロール魔になってるビリーのセラピー映画としての路線を極めてほしかったな…これでもありはするんだけど、どうにもビリーが幼稚でやんちゃなだけに見えてしまったから…
たとえばビリーは「アイアンマン3」のスーツ中毒気味のトニーみたいな話にもできたろうな、と思う。
だし、その兄弟たち"ファミリー"の映画であるなら、果たしてフレディとアンテアのロマンスは必要なかったようにも思えてきてしまっている…いっぱい恋していっぱいはしゃいでいっぱい落ち込むフレディの可愛さは存分に詰まってる(むしろそれがこの映画を魅力的にしているとも思う)けれど、もっと1作目の延長線上でビリーとフレディの関係性を深めていくこともできたよなと思うし、わたしはそれが観たかったんだろうなと…終盤でビリーのために涙を流すに至るフレディの思いをもっとみせてほしかったなと思う…
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