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花と沼のkitoのレビュー・感想・評価

花と沼(2020年製作の映画)
3.3
全編にわたってクスッとなるシーンの連続で面白かった。

まず、「花と沼」というタイトル、いったい何なんだと思いながら見始めた。しばらくして、なんだ、一花(いちか)と沼田という主演男女の名前なんかいと突っ込むのだけど、観終わるとなるほど確かに "彼女と彼の物語" だと100%納得してしまった。

キモい課長とその部下の眼鏡OL一花。加齢臭がひどく、口も臭く、オヤジギャグとセクハラ三昧のキモハラ課長は会社では徹底的に毛嫌いされている。ところが、一花だけは極めつけのキモフェチで毎夜、密かに課長がライブ配信しているYouTubeチャンネルにかぶりついている。あまりに課長が好きすぎて盗撮、盗聴、ストーキングまでする始末。

な、なるほどーー特殊な性癖の女子のお話だった。

一花を演じる七海ななは例によってセクシー女優なのだが、見事に役にハマっている。しかし、えちシーンよりもまさかの "キモフェチ女子の日常" の方がずっと自然体に見える不思議。

そしてキモハラ課長役の麻木貴仁がとにかく見事すぎる。徹頭徹尾キモ演技なのに、突然ギターで弾き語りする歌が上手すぎて、そのギャップは百万光年くらいある。一花がペットのカエルと話すファンタジーなシーンも口直し的で良く、とにかくどれもが面白すぎ。

監督による作詞・作曲のエンディング曲まで沁みる良さで、「扉を閉めた女教師」と甲乙つけ難い楽しい作品だった。
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