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吸血鬼ドラキュラの花嫁のMOCOのレビュー・感想・評価

吸血鬼ドラキュラの花嫁(1960年製作の映画)
3.5
「可愛そうにわたしにはどうすることも出来ん・・・」
「私はできるかもしれません」
「あなたは?」
「手紙を戴いたヴァン・ヘルシングです」


 私の小学生時代はまだ家庭用エアコンの普及はなく、夏は家族で寝る2階の部屋の窓辺に蚊取り線香を炊いて、窓を開け放して夜を過ごすのが普通でした。

 テレビで初めて「ドラキュラ」の映画を観た夏の夜、その窓から見える空にコウモリが飛んでいることを初めて知りました。
 空を飛び交う無数のコウモリの1ぴきが、部屋に入ってきて伯爵になるのではないかと怖くてたまりませんでした。

 その家の廊下のトイレの前は暗い電球が一つだけだったので、怖い映画を観るとそれから3日間位は家族を起こさなければ、怖くてトイレ(この頃は便所でした)にもいけませんでした。
 この映画もそんな頃に観たのですが、DVDを手にいれるまでは、ストーリーの記憶はあまりありませんでしたが、吸血鬼=コウモリのイメージが生まれたのは正にこの映画です。

 白いドレスの可愛らしい女性の吸血鬼が二人、高いところから見下ろすポスターを「欲しいなぁ」と思っていた時期がありましたがこの映画のポスターと知ったのは後々の話です。大人になってこの映画を入手して、全然可愛らしくない女性と知り、美化された思い出と知りました。

 この映画は吸血鬼の退治方法が変わっているのと、ヴァン・ヘルシングのピーター・カッシングが吸血鬼に血を吸われる上にその傷を焼きごてで焼き、聖水をかけて傷をなくす信じられないシーンがありなかなか面白い作品です。タイトルにドラキュラの名前が使われていますが、クリストファー・リーに出演を断られた為にドラキュラに吸血鬼にされた男vsヴァン・ヘルシングという苦肉の作品です。


 ドバスタインのラング女学校の教師に採用されたマリアンヌ・ダニエルは馬車で学校へ向かうのですが、夕刻の停車場でレストラン(宿兼用)に置き去りにされます。
 そこにマインスター男爵夫人が現れ、所有する城に泊るよう招かれます。
 夫人は訳あって若い女性を拐っているのです、馬車が置いてきぼりにしたのも夫人の仕業なのです。

 マリアンヌはメイド(老婆)のグレタに案内された部屋のベランダから別の部屋にいる男性を見つけます。夫人はその男性は心を病んだ息子で閉じ込めていると話しますが、マリアンヌは、鎖に繋がれた若いマインスター伯爵を解放してしまいます。

 その夜、夫人は(息子に)殺害され、マリアンヌはグレタにマインスター伯爵を解放したことを責められ城を飛び出し森の恐ろしさから気を失ってしまいます。
 マリアンヌは翌朝、神父に呼ばれて町に来たヴァン・ヘルシング(ピーター・カッシング)に見つけられレストランに送ってもらいます。

 その日は早朝美しい娘が殺害され、ヘルシングはその遺体の首にドラキュラの封印(噛んだ痕)を見つけます。

 マリアンヌをラング女学校へ届けたヘルシングは日が暮れないうちに埋葬された娘を掘り起こし胸に杭を打ち込もうとするのですが、そこには土の中の遺体に自力で出てくるように呼び掛けるグレタがいて、娘が重い棺を開け出てきた所に牧師が現れグレタを押さえ込むのですがグレタは逃げたします。ヘルシングは甦った娘を追うのですが娘は馬車で逃げ出しヘルシングは大きなコウモリにおそわれ投げつけたカバンからこぼれ落ちた十字架に救われます。

 ヘルシングは城を訪れ、部屋の中に永い間棺があった痕跡を見つけ、マインスター伯爵が自分の寝床でもある棺を移したことを知ります。

 そこにマインスター伯爵と彼に吸血鬼にされた母親が現れます。マインスター伯爵はヘルシングの十字架に退散し、母親は吸血鬼になってしまった息子に、拐ってきた若い娘の血を与えていた後悔を話します。ヘルシングは母親が眠った夜明けに胸に杭を打ちます(夜明けにソファーで眠る吸血鬼は矛盾です)。

 マインスター伯爵はラング女学校を訪れマリアンヌと婚約を交わし帰ります。

 その夜、教師仲間のジーナはマインスター伯爵に血を吸われ死亡します。

  知らせでジーナを診たヘルシングはドラキュラの封印(噛んだ痕)を見つけ遺体を敷地内の馬小屋へ運び出します。そこでヘルシングはマリアンヌと伯爵の婚約を知ります。

 馬小屋でジーナの棺の見張りをするマリアンヌは棺から起き上がったジーナに驚き「風車小屋にマインスター伯爵が待っている」と聞かされます。駆けつけたヘルシングに助けられマインスター伯爵の正体を知ります。
 
 ヘルシングは十字架のペンダントをマリアンヌの首にかけ一人風車小屋に向かい吸血鬼にされたジーナら二人の女性を十字架で追い詰めるのですが、グレタと格闘になり十字架を奪われてしまいます(その際グレタは死亡)。そこにマインスター伯爵が現れ十字架を失っているヘルシングは首を絞められ気絶し、血を吸われてしまいます。

 気がついたヘルシングは自分につけられたドラキュラの封印を焼き聖水をかけます。
 
 マインスター伯爵は風車小屋にマリアンヌ(十字架のペンダントは外しています)を連れてくると「儀式を見ろ」とマリアンヌの首に顔を近付けるのですが、ヘルシングはマインスター伯爵に聖水を浴びせます。

 顔が爛れ、苦しみ怒ったマインスター伯爵は小屋に火を放つのですが、あまりの炎の勢いを怖れ小屋の外へでます。炎に追い詰められたヘルシングとマリアンヌは階上から外に出ると聖水に苦しむマインスター伯爵を発見、ヘルシングは風車に飛びぶら下がりその影で十字架を作ると十字架の影の真下でマインスター伯爵は死んでいきます。

 ハマープロダクションの映画は、子供の頃に観た怖さは微塵もないのですが、子供のときはハラハラドキドキの大切な思い出の映画です。
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