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ATEOTDのtetsuのレビュー・感想・評価

ATEOTD(2020年製作の映画)
3.3
自粛期間中、オンライン上映されていた斎藤工関連作品にハマったため、鑑賞。


[あらすじ]

現代から100年後の地球。
人類が崩壊した世界で、生き残った男と女は、密かに森で生活をしている。
互いの存在を知らずに、孤独な生を全うしようとする彼らだったが……。


[感想]

斎藤工さんが監督を務めたMV『一日の終わりに』を基に、制作された短編映画。

多忙な中、撮影時間ほぼ1日で制作されたというだけあって、内容の薄さは気になるけれど、独特な世界観が印象的な作品だった。


[MVとの違い]

短編映画のために大幅な追加撮影を行ったようでもなく、MVと物語に大きな違いはないが、尺は倍になっていた。

また、MVでは、音楽と共にダイジェスト形式で描かれていた物語が、本作では2人の独白が加えられたことで、よりメッセージが分かりやすくなっていたようにも感じた。


[コロナ禍の映画として]

世界観と音楽が重視のため、MVを引き延ばした作品という印象は否めないが、コロナ禍に作られた映画としては、とても貴重な作品だと思った。

互いに孤独な生活を送る中、憂鬱な気持ちにとらわれた二人。
彼らが会ったこともない互いの存在を意識し、「生きること」を決意する物語。

それは、まさしく、自粛生活を経験した私たちにこそ響く比喩であり、ある種の救済を描いた物語のようにも思える。

エンドクレジット後に明かされるある事実は、少し蛇足に感じたものの、今、観ることが出来て、本当に良い作品だった。


[特殊な上映形式]

今回の劇場上映では、この作品を中心として、併映『でぃすたんす』ほか、メイキング映像などを盛り込んだ特別な上映形式だった。
(『でぃすたんす』は、オムニバスリモート映画『TOKYO TELEWORK FILM』の一編でもあるため、感想はそちらに書き残すことにした。)

今回の上映プログラムは以下の通り。

・リモート映画『でぃすたんす』(約27分)
・SAKANAMON『ディスタンス』MV(約3分)
・短編映画『ATEOTD』(約25分)
・『ATEOTD』のメイキング映像&製作陣の挨拶(約6分)
※短編映画『ATEOTD』以外はネット配信から鑑賞可能。


[終わりに]

宣伝の少なさと、全国のイオンシネマを中心にした限られた上映館から、知名度が低く、客層もほとんど斎藤工ファンだった印象は否めないものの、個人的には興味深かった本作。

監督としての秀でた才能があるというよりは、単純に映画好きであり、人柄の良さが滲み出ている斎藤工さん。

そんな監督がとにかく推せる、今後の活躍が、とても楽しみになる一作でした。

参考

安藤裕子「一日の終わりに」MV (監督:齊藤工 / 出演:門脇麦・宮沢氷魚)
https://youtu.be/JKBGruj3k28 
(『ATEOTD』の基となったMV)

斎藤工の地球の寿命-開放区- #16の詳細 | ビデオ | ひかりTV
https://www.hikaritv.net/video/detail/dm9kLzAwMDAwMDAwMDBfMDBrY211amZvNQ
(『一日の終わりに』MV&短編映画『ATEOTD』メイキングは、コチラからレンタル可能。)

2021/1/11
#シリーズ:コロナ禍の映画 を #シリーズ:コロナ禍の作品に変更しました。
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