春とヒコーキ土岡哲朗

ラブ&モンスターズの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

ラブ&モンスターズ(2020年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

外は過酷だが、生きる世界を狭まれるものか。

最高犬とグロモンスター。
犬!相棒の犬・ボーイが、犬好きとしてはたまらない。勇敢で、どこかへ消えた飼い主への愛を持ち続ける、理想的で最高の犬。グロいモンスターだらけの世界でボーイがいてくれて、癒され続けた。
モンスターがグロくてきつかった。放射線によって虫や爬虫類が巨大なバケモノになった設定で、すべてが実在の地球の生物ベース。だからリアルな虫の気持ち悪さがあってキツい。でも、グロい不快感で危険度がゆゆしきものとして伝わった効果はある。危険だらけの世界だということが、ワクワクな冒険ではなくリアルになる。

外で生きる。
コロナ禍の今刺さるメッセージだ(2021年に鑑賞)。もちろん今不用意に外に出てはいけないが、外に出ることを諦めない気持ちを奮い立たせ、外に出たい気持ちを希望として肯定してくれるのが良かった。主人公は、無線ではなく実際に恋人と対面したいから危険な外へ出る。外の過酷さをグロテスクに見せつけたあと、たとえ恋愛が叶わなくても、外を取り戻したこと、恋人が外へのモチベーションとして機能してくれたことに喜びと感謝。映画は、外をモンスターから奪い返すところまではいかないが、それを目指すと皆が決めたところで終わる。今の我々と同じく外を自由に出歩けない状態の人々が、主人公からの無線のメッセージで奮い立つ。過酷な戦いを覚悟する価値がある、素晴らしい世界が外にはある。