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Zanka Contact(原題)のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

Zanka Contact(原題)(2020年製作の映画)
3.5
【モロッコの暑苦しい音楽恋愛劇】
第77回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門で女優賞(Khansa Batma)を受賞したモロッコ映画『ZANKA CONTACT』をfestival scopeで観ました。

世渡り上手な街の女Rajae(Khansa Batma)は颯爽と他に乗客がいるのに、タクシーに乗り込みシッシと追い出す。そして意気揚々と、タクシー運転手と世間話をする。一方、ギタリストの男Larsen(Ahmed Hammoud)は車の中で薬物を打とうとしていた。そんな二人は交通事故によって出会う。血だらけのRajaeを下心から介抱することにしたLarsenは、そのまま恋に落ちる。そして二人でセッションをしようと誘う。しかし、Rajaeをモノ扱いする男がこの二人の情事を邪魔するのだ。彼は彼女を助けようとするのだが、ヤク中である彼は幻覚に悩まされる。

モロッコはイスラム文化圏でありながら、酒や音楽にはゆるいイメージがある。そして、本作はそのゆるさが生み出したローカル音楽映画に見える。日本ではなかなか観ることのできない娯楽作品は新鮮だ。モロッコのうだるような暑さに木霊する重いギターの旋律にねっとりとしたKhansa Batmaが絡む。そして西部劇のような銃撃戦のサービスまでついており気軽に楽しめます。

この作品がヴェネチア国際映画祭に出品されるのは意外であったが、その自由さはオリゾンティ部門ならでは。日本公開される気が全くしない作品だけに貴重な映画体験でした。
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