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川っぺりムコリッタのoden8のレビュー・感想・評価

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)
4.4
"どうぞぉ。先ぃ、食べてください。"
by 山ちゃん

"それを一気に。" "ドォオォ〜ッンッ!!!!"
by 元花火師 現タクドラby笹野さん

"頭使わず、手ぇ使えっ。社長命令だからな。"
by 塩辛社長

風呂上がりは、ゴキュキュとビール?
それとも、腰に手を当ててギン冷えの牛乳か??

何でもない日常も。誰かにとっては、地獄の様な日々で。生きてる価値なんて見い出せない。んじゃないか?
一人だと、そんな渦から抜け出せないのかもしれないよね。
だけど、その生活に人が加わるだけで。言葉を交わす機会が生まれ。それが悦びを分かち合える存在に感じれたら。自然とニヤけてまうよね。
ちょっとだけだけど。こんなボクでも、生きてて良かった。まだ、幸せを感じることができるんだ。感じてもいいのかなぁ。その感覚が、自分を安堵させてくれるんだろうなぁ。不思議なのが…。そう感じさせてくれはる存在が生きてはる人でなくてもいいんだよね。

松山ケンイチくんの自然な演技が、物凄く切なく優しいのね。空っぽだった山田から、少しづつ幸せを感じれる山田へ。その変わっていく様が、めっちゃ繊細に表現されてはるの。そうなの。それがご飯を咀嚼する音や、食べている時の雰囲気からフンワァ〜っと伝わってくるだよね。
ムロさんも、変なオッサンやらしたら無敵やよね。彼が演じる島田の言葉が、大したことを言うてへんのに…妙に響くんだよねぇ。普段の生活が当たり前になり過ぎてもうてると…感謝の心を忘れがちになってもうてるというか。島田は、それに気付かせてくれるだよねぇ。めっちゃ図々しいヤツなのにっ!!!
満島さんの遺骨ファックの描写は、深過ぎる愛と妖艶さが絡まり過ぎて…アワワしちゃったぞぉ…。あの一瞬だけ時空が歪んだよねぇ。

カラ〜っと晴れた夏空と、もゆもゆの緑に囲まれてんのに。ジメジメと、鬱々とした感情が付き纏う雰囲気が物語を占めているのだけど。その中に、ちゃんと…そっと、小さな幸せが散りばめりられているの。ささやか過ぎて、スルーしてまいそうなくらい繊細なのね。
その雰囲気が、物凄くいいんですのん。

てか、山田の炊いた白米と島田の夏野菜食いてぇ〜でござぁますなぁ〜ん。
誰かと、何かを分かち合う。そんな、彼らの姿が優しいんだわ。
誰と心を通わすことができる瞬間なんて、ムコリッタかもしれないけど。その瞬間を感じれる限り。感じさせてくれる日々や人に感謝しながら丁寧に生きなきゃね。

あなたも、誰かとささやかな夕げを食べたくなるかもしれない作品。ごちそうさまでござぁましたん。

ミニマリストだけど
たくさん持っている
不思議な人
なんかぁ 小さな ささやかな
幸せを見つけるのが 上手な人
そうでない人も
アナタも ボクも
感じていいこと
誰かが隣にいてくれること
その悦びはムコリッタ

"お父様は、そのどちらでもなかったと聞いております。比較的、部屋も綺麗に整頓されていて。ご覧の様に、ベランダで植物も育ていらした。きっとぉ。丁寧に生活していらっしゃったのでしょう。窓辺に座っていて。側のテーブルには、飲みかけの牛乳があったと。風呂上がりだったんでしょうかぁ…。"
by 堤下

"自分が死んだ時に、寂しいって思ってくれる人が一人でもいれば。それでいいって思ってるの。"
by 島田

"ちょっと笑ってる自分いて。あぁ。ダメだ。笑っちゃダメだ。自分なんて笑っちゃダメだ。生きてる意味ないし。そう思ってたんすけどぉ…。でもぉ。ちょっと笑ってる自分いて。"
by 山田 たけし

Cast(役者·キャラ) 4.5
Story(物語) 4.5
Architecture(構成) 4
Picture(画) 4.5
Acoustic (音) 4.5
24-57
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