記憶喪失の患者が受ける社会復帰プログラムの内容は、友達やパートナーを作ったりお金で何かを買ったりすること。逆説的に、そもそも何のためにそんなことをしているのかが問いかけられている。
記憶を失くすことで過去や立場が人生に関係しなくなると、同じ環境にいる人同士の上下関係が発生しにくくなり、同時に人生の空虚さも浮き彫りにされる。
さりげないユーモアと絶対的な孤独。林檎の使い方が本当に巧くて、オールタイムベスト映画のエンディング部門があったらTOP20くらいには入りそう。同じアイテムが2つのシーンで全く違う意味を持つって、構図としてはシンプルだけどだからこそ強烈だった。
好みかどうかは微妙だけど、商業映画的なキャッチーな部分が少ないという点だけで贔屓したくなる映画。