東京国際映画祭
TOKYOプレミア2020
『蛾の光』
映画だからこそできる、感情の表現。
母を失い、話すことをやめたヒロイン。彼女の過去と未来を繋ぐものはダンスを通じた芸術的表現であり、それこそが最も素直にいられる場所なのだろう。東洋的な死生観を描く本作のため、やや理解し難い場面も存在するが、注目したいのは内に秘めた複雑な感情の表現である。軽快なリズムや音楽に乗せるのではなく、自然の音、生活の音の中から繰り出される身体表現は、静かでありながら、どこか強い意志に動かされているように感じられる。
映画という、ある場面をそのまま映し出せる芸術だからこそできる"魅せ方"だろう。
(鑑賞者:ひろ)