Monsieurおむすび

トゥルーノースのMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

東京国際映画祭にて。

北朝鮮にある強制労働収容所の実態を元収容者やその家族、脱北した元看守への聞き取りにより克明に記すCGアニメーション。
かつてのホロコーストを想起させる現在進行形の蛮行は、恐らく実写では描写が難しいほどの壮絶さなのだが、アニメーションという創作性の高いコンテンツの力により見事に「描ききる」ことに成功している。加えて、こちらの想像力を掻き立てる余白をも残す演出もあり、ある意味、実写よりも真に迫る雄弁さを持っているとも言える。

上映後、監督とプロデューサーを迎えてのQ&Aも興味深い話がたくさん聞けた。
作中、人間性の変容を見せる人物への言及で、収容者に対して慈悲を持たないよう徹底した教育を受けてきている看守であっても長期に渡り囚人と接する事で、善の心に目覚めていく者もいれば、逆により残虐さがエスカレートしていく者もいる。というエピソード。
そういった観点からも、北朝鮮の非道さを世界へ告発するだけでなく、善悪のコントラストを通して、人権や真の人間性を真摯に、真っ向から描いた大作であった。
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