犬たろ

アムステルダムの犬たろのネタバレレビュー・内容・結末

アムステルダム(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

“勝ち組”と思わず呼びたくなる奴らがいた。

僕が思うそれは、大きな富を手に振りかざしたり、社会や情報を容易く操れる権力で他者をねじ伏せたり、はたまた途轍もなく横に大きく連なる結び付きに属する者たちのことではない。

人は弱い生き物だとつくづく思う。一人で生きていくのは、あまりにも心許ない。簡単な話、寂しい。

だからこそ連むなら、群れるなら、彼ら三人のような疑う余地のない、揺るぎない、微笑ましくも逞しく、切ってもまたどこかで自然と結ばれるような絆で繋がる関係が何より好ましい。

生きていく上で選択を間違えることはよくある。どうしてそうなったのか、に執着するよりも、どうしてそうしたかったのか、の方に思考を向けていたい。

恋は何故“堕ちる”のだろうか。一目惚れしてしまう気持ちはよくわかる。好きになってくれる人は皆好きになってしまうから質が悪い、というか分が悪い。

離れて数年が経つにもかかわらず、何の巡り合わせか、思いも寄らないところで再び出会すことがある。

必要だから繋がっている。そんな損得勘定だけで推しはかるような味気ない結び付きは、どれだけ力が強かろうと、どれだけ輝きを放っていようと、単純に萎える。

ひと目見た瞬間から目が離せなくなる。魅了される。極めつけは虜になる。そんな選りすぐりの出会いは、何が何でも掴んで離したくない。

喩えこの身が朽ち果てようと、傍を離れるなんて考えられないし考えたくもない。

故郷を捨ててでも、形振り構わず心赴くままに、一生、貴女についていきたい。

とどのつまり、人間到る処青山あり。

p.s.

久々の試写会参加。公開前に見れる喜び。

でも、一日のスケジュールを考えながら、適当な上映回と好きな座席を選んでチケットを購入して、上映開始10分前に皆さんと一緒に入場するあの感覚がやっぱり好きだと再認識した。
犬たろ

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