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ランニング・デッド/THE RUNNING DEADのkuuのレビュー・感想・評価

3.5
『ランニング・デッド』
原題 The Clearing.
製作年 2020年。上映時間 84分。

リアム・マッキンタイア主演によるゾンビサバイバル・ムービー。
監督:デビッド・マタロン 
アンドリー・スミス、スティーブン・スワドリング、サイデル・ノエル他。

10歳の娘ミラとキャンプにやってきたトム。
ミラに嫌われ気味のトムは何とか関係を改善しようと努力していたが、そんな中突如走るゾンビの群れが襲ってくる。。。

今作品の設定や環境は楽しめました。
プチ文明から離れた場所にいる人が(キャンプで)、無差別に発生する暴力事件などのニュース速報を何気なく受け流すというコンセプトは、確かに興味深かったです。
しかし、それはゾンビというジャンルにとって、ほとんど新しいものではないかな。
せや、もちろん、多くのゾンビ映画でそうであるように、アウトブレイクについての説明はなく、何が原因で、どないして早くあの辺鄙な場所にまで感染が拡がるのか疑問はある。
映画なら『28日後』、ドラマなら『Zネイション』のようなんが好きなら、今作品も好きになる可能性が高いかな。
個人的には今作品は決して悪くなく、むしろビビっちまうスピードゾンビに親子愛を絡めてるとこは良かったです。
ビジュアル面も十分な出来栄えやったし、低予算で作られたゾンビのメイクアップのように、顔は灰色に塗られ、体の他の部分は通常の肌の色に戻されているようなひどいものではなかったのです。
特殊効果もあり、血糊の量も十分やった。
満足はいくゾンビ作品でした。
まぁ結末駆け足過ぎたのは残念やさなとこやし、親子の絆と成長ももっと見たかったかな。
演技もこの手の映画としては巧みやったし、もちろん、受賞するような演技やないけど、主役のリアム・マッキンタイアは、説得力のある演技で、実際に映画をよく支えていた。
今作品は、エキストラを抜いたキャストは非常に少ないし、主役の演技に緊張感があった。
また、プレッシャーも彼にはあったやろうに、それを退けるかのように十分にやり遂げたかな、ゾンビもかなり退けてたし。
今作品はめちゃ単純化されたストーリーが展開されてます。
いや、実はそこの肝心要(ストーリー重視の方には)弱く、ほとんど存在しないようなストーリーであったと云うべきかな。
鯔のつまり、すべてがキャンプ場で行われ、主人公はキャンピングカーの屋根の上に立ち往生するか、キャンプユニットの中に閉じ込められるかのどちらかやった。
せやし、より深く深みのあるプロットと脚本で、社会へのジャブを含んだゾンビ映画をお探しなら、もっと深みを欲するんは間違いないと思います。
今作品は、確かに見ごたえはあるが、同じようなゾンビ映画が乱立する中で、突出した存在にはなり得なかったステレオタイプのゾンビ映画ではある。
しかし、限られた数のセットとロケ地を使用した低予算の作品で、特殊効果は極めて少なく、それを隠すために非常に素早いカメラショットで撮影されている苦肉の策が微笑ましく感じたし、何より個人的には『誰かの為に』ってのに弱いし、甘めに見つつ嵌まりました。
贅沢云えば、もっと善き脚本と資金があれば、もっと遠くまで映画を運べたやろうなぁ。
今作品は、数日間のスナップショットのようなもので、感染がどのように始まるのか、それが世界的なものなのかさえ説明されていない。
親と子の成長すら微妙。
せやしドラマ化してその辺りを描いてくれたら善き作品になったんやろなぁ。
今作品で伺い知れるのは、ほんの数キロ先の物語だけやった。
まぁ上映時間は短めですし、サクッとゾンビ作品を楽しむに当たっては十分満足いく作品でした。
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