洋の東西問わず、人々を魅了し続ける陶磁器。母なる土と父なる炎、大自然の力と美を取り込もうとした人間の弛まぬ探究心が生み出した土の器が辿った、2万年の進化の旅路。ナビゲート役の陶王子が旅を経てアップデートされていく様も愉しく、知的好奇心も存分に満たしてくれる。
土器が東アジアで作られ始めた時、火に焚べても壊れない強い器は食べられない木の実を調理により食べられるようにし、人類の繁栄の礎となった。2万年の共進化を遂げた果てに、宇宙船の構成材として、人類の命の器として強い耐熱性を持つファインセラミックが使用されている。陶器は、その発達の歴史を通じて人類の素晴らしい伴侶だ。
それは人類の美への偏執が作った歴史でもあった。実用性で金属器に一旦遅れを取ってからの多様多彩な進化は、人類がただ効率だけで生きる種族でないことの雄弁な証言だった。科学も政治経済も、時に芸術の追走者に過ぎない。
