寿都

ドライブ・マイ・カーの寿都のネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます



おいらこの人と結婚するんじゃね?という可能性をみせてくる奇特なダーリンと観た。カップルでの鑑賞をおすすめしたい。

読書は苦手だけど、「女のいない男たち」だけは村上春樹らしくない思わず読みたくなるタイトルで、短編集だし、発売当時の7年前、26歳の頃に単行本を買い読んだ(辛酸なめこのレビューが決め手だったよーなw)

こういったカタチの作品が、日本史上初のアカデミー賞作品賞にノミネートされる日が来るとは感慨深いし、想像もつかなかった。素直な気持ちで、日本人らしい精神性を誇りにおもえる。衰退モードの日本にとりとてつもなく重大なニュースなのではないか、何気に。
そしてこのような娯楽性の低い大衆向きでない(しかし疲弊した現代人に必要な示唆を多分に含む)作品を選んだアカデミー賞も見直した。

知人のカーマニアにこの車種について聞いてみたところ、まさかまさかで昔この『サーブ』の黒に乗っていたらしく吃驚した。

「サーブはスェーデンのセスナを製造していて、とべない鳥のようなかたちをしている。とても壊れやすく自分は一年半でギブアップした。いろんなところにセスナを製造してたよってところがあって素敵だった。フロントガラスがRついてるんだよ、丸くなってるってこと。またのりたいな。サーブ900の選択はかなりセンス良い映画とみた」
とのことw
映画で使われる車の車種には、こちらがおもっている以上に意味が込められているものだから、聞いてみてよかった。その方はステータスを持つ50近い男性だが未婚で、一年半みじかいすねwと吹いたが、そういうことなのだろう(すんません)
脆く、こわれやすいものを長年大切にし、愛し抜いた主人公の人間性がうかがいしれる。


芸能人の未成年との淫行、傷害事件、それによる仕事のロス。
また、女性の不貞。これらの過ちを犯した人に、きびしすぎる人々が沢山いる、自分も含めて。きびしいとは、ひとつの過ちでその人の人間性すべてを汚れた、しょーもない、信用のできない迷惑をかけるあたまのわるい奴だ、と決めつけてしまうことだ。相手の事情を想像すらしないで。
進化や成長の過程で、そういった脆いものが淘汰されゆくことは仕方のないことなのかもしれない。でもそろそろ新しいものばかりを追うのではなく、美しいものを大切にする力を養う方向性へ徐々に転換するべきだ。
忍耐をもってフローするために芸術を学んでみようかしら、そう思わせてくれる、素晴らしい映画だった。

まえにたまたま観たYouTubeをはっときます。
https://m.youtube.com/watch?v=R4pZueSRP0g
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