見逃していたのでこのタイミングで劇場公開してくれて助かりました。
家とかよりは集中できる環境で観たほうがより浸れるタイプの作品かと思います。
おかげで、予想以上に満ち足りた気持ちで劇場を後にしました。
言葉のセラピーのような映画ですね。
心の中の超個人的な問題なのに、いくら個人で悩み苦しんでみてもその問題の解消や許しには辿り着かない厄介さと、だからこその他者とのコミニュケーションの大切さがとても丁寧に描かれていました。
大事なのはちゃんと言葉に出して喋ること、という。
1人で自問自答し続けていても、なかなか厳しいものがあるってことですね。
しかもどちらもが、家福とみさきの双方が、車の中で延々と音で語られる「ワーニャおじさん」を通じて心の傷をお互いに癒し、ようやく2人とも次へ進めそうだと感じさせてくれるので長い時間観て良かったなあと思うんですよね。
そこに至る道のり、やはり内面の問題というのは頭や理屈で分かっていてもショートカットできるものでは無いので、気持ちが追いつくまであの上映時間の長さは必要だったと思います。
あと、初めはかなり考えながら観ないといけないタイプの作品かと思っていましたが、思ったよりもずっと素直に入ってきました。
村上春樹は学生の頃にちょっと読んで全然合わなくてそれっきりで、チェーホフに関しては本当に名前しか知らなかった状態の自分でも十分に楽しめました。
あと、自分にとっても車の中というのはとても大事な空間なので、ロードムービー好きとしても久しぶりに作品を観ました。