坂元裕二になりたいボーイ

ボクたちはみんな大人になれなかったの坂元裕二になりたいボーイのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

森山未來、舞台挨拶回行ってきた!!!

誰かに言われたことが強烈でもそうでなくても、自分の中に残っていることはよくありますよね。ただ同じ言葉でも、その人のキャラとか信用とかで捉えられ方が全く変わるわけなんやけど。
僕は元々佐藤みたいな何も無い・何者でも無いまま学生生活の大半を過ごして、アイデンティティの呪いにかけられていた。自分に合う非「普通」てなんなんやろかと考えあぐねていたところ、『モテキ』と出会った。ありがとう森山未來。だから、佐藤もかおりも少しは経験してると思う。佐藤からかおりへの羨望の眼差し、というかもはや神格化の域の崇拝も、「普通」に対する意味の無いマウントも。ただそれも結局そのカテゴリーにおいては、「普通」であるわけやんやけど。ここでかおりを痛いと感じたのは、他者との出会いによって形成された自己の佐藤との差かなと思う。何気無い他人からの一言って、生き方までにも影響できる。森山未來も言うてはったけど、自分の価値観が良い意味で壊されたり変わったりする。趣味と同じで、相手に生き方とか求めようとすると、絶対上手くいかへんなあ。
時間が遡るにつれて、元々かおりは「普通」であったことが明かされるかと思いきや、スカートのペイントとか夏場に長袖を流行らすとか、創意工夫とか人と違う発想に富んでたんやと分かった。佐藤のキャラを形成した生い立ちの溝は大きかった。
かおりがインドから送った葉書に「こっちおいで」て書いてあったけど、佐藤がその通り行動すれば、非「普通」として、彼らは別れなかったのだろうか。佐藤と離れ離れになった人達は、今頃どうしてるんだろうかと考えてしまう。幸せになってくれている人が多ければいいなあ。

頻出ワードの「普通」は、タイトルにある「大人」であること。普通じゃかったら痛い奴として、そのはみ出し具合を押し潰そうとするのが、社会やから。
コロナ感染者が増加している中で後輩を飲みに誘ったり、街で佐藤だけが鼻マスクしていたりしてた旧時代の子供が佐藤やけど、最後タイトルが再度登場渋谷でマスクをしっかり着け直すところも大人になったことを表していると思った。回顧し切った佐藤が大人になった瞬間。『(あの頃の)ボクたちはみんな大人になれなかった』から『ボクたちは(もう)みんな大人になってしまった』に。
ただ仮にマスクがキーアイテムならば、七瀬はまだまだ普通にも大人にもなれてないのだろう。

僕自身は「普通」と非「普通」の間を行き来しています。ずっと非「普通」を大事にしてきたのに、最近「普通」に侵食されつつある。それを自覚しているけど、何も行動も起こさない自分に一番腹が立つ。まだまだ大人になり切れていないので、非「普通」の感性とか感動とか、一つ一つ大事にしたいと思った。これに尽きる。

2日前に歩いたばかりの道がいっぱい出てきた! 中でも新宿にあった石畳の緩いカーブの道は思い入れアリ。劇中で佐藤がバーテンダーとキスしたとこです。
やば早くも東京旅行またしたなってる。ていうか、聖地巡礼かな?

あとやっぱり大好きな『花束みたいな〜』と比較できるところあったから、書きます。
まず過去から現在に向かう💐に対して、こちらの大筋は時間が逆行してる。現在の姿を知っているからこそ、どうやってそこに行き着いたのか知る楽しみ。でもどうしても分かりにくくなってしまうのは意地悪やし、最高に好きやった。
あと、元々趣味嗜好が似通っていた💐に対して、こちらは元は片方だけがカルチャー人間。「普通」じゃない同士ではないってことが、やはり大きい。通も万人にもウケる歌手として、オザケンをセレクトする辺り、完璧すぎた。90'sの歌手て、ちょうど狭間の立ち位置の人らが多い気がする。それに『彗星』は、ラブホの宇宙の部屋に関連するのはもちろんのこと、これまでどんな平凡でも運命的でも出会ったことを祝福するように感じた。
一つのイヤホンを二人で共有してたし、ラブホにミキサーおじさん出てこーへんかヒヤヒヤした!
個人的に当時がリアル世代の💐と、リアルに体験できてない本作とで、両作に違った面白みがあったなあ。文通したい人を集めた求人雑誌のコーナーとかあったんすね🤣

森山未來から伝えてくれって言われたから、この作品をNetflixで鑑賞する方へ伝言です。「エンドロールはスキップできない仕様になっています。最後まで映像があるので、×を押さないように!」とのこと。まあネタバレ設定してるし、関係無いか。
出身神戸て知らへんかったし、関西弁が新鮮やった。
あと「エモい」、「スピリチュアル」の話、凄く共感した。実体の無いものとか人智で解明し切れないものが増え過ぎたから、こういった精神的単語が流行っているのだと。便利になりすぎた人との意思疎通の媒体とかもそれを促進させたのではないかと思う。
ほんで昨日、一昨日で一方的に会ってきたばっかの松本隆と堀込泰行の話になったんは、テンション爆上がり!!風街について、貿易の中心地や東西の中間地点という意味で、色んなものが吹き抜けていくってゆう考え方は新鮮やった。

まだまだ整理したいことが山積みで、Netflixと映画館の二刀流で味わい楽しみたいと思います。
まだ未読了の原作と出演者の演技力あっての、この映画なんやと思う。