セイラ

ボクたちはみんな大人になれなかったのセイラのレビュー・感想・評価

3.7
・原作:テレビ美術制作会社の美術さんである燃え殻さんによる私小説
・サブカル的恋愛のだささやイタさ、それを懐古するどうしようもなさがぎっしり
・「自分よりも好きになってしまった人」へのがっかりや強がりに共感

原作ファンでこれのためにNetflixに入った。大正解!
読書禁止にした受験期に、禁断症状を起こして図書室で読み耽った本。
因みに台湾版の小説も素敵です。
「我們都無法成為大人」文章的にもうまい具合に、あいたたた!となるので中国語が読める方はぜひ。
漢字だけしかない文章というのも独特のエモーショナルをくれて良いです。

模試でA判定が出た日に上京する実感が湧かない自分に絶望して読んだ思い出の本。
タイトルに救われて、一旦もう一回やる気を出すことにして、
結局合格して上京して早々に「sns展 #もしもsnsがなかったら」に足を運んで泣いた。
小説の時点でありありと情景が浮かび、自分のイタさと重ねて頭を抱えたものだけど、
映画になることでそのどうしようもなさが鮮明になった。
弱冠22歳の小娘のわたしさえそう思うのだから、「大人」と呼ばれて長い方々はどう感じるのか興味深い作品。
こうしてこの年齢でこの作品に出会っていても、同じ轍を踏む自信しかない。
いつか「自分よりも好きになってしまった人」を思い出したとき、なにを思う人間になれるのか楽しみだし、
わたしのことを「自分よりも好きになってしまった人」だと思ってくれた恋人たちが
どのタイミングでわたしを思い出してくれるのか胸が高鳴った。

相変わらず伊藤沙莉ちゃんにやられています。最高にかわいい。
撮休、プぺルに加えて『人志松本の酒のツマミになる話』で普段のお喋りの仕方にときめいたばかりだったのに!
大好きな私小説を演じてくださる役者さんの中でナンバーワンでした。
セイラ

セイラ