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プリズナーズ・オブ・ゴーストランドのkuuのレビュー・感想・評価

3.0
『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』
原題 Prisoners of the Ghostland.
製作年 2021年。上映時間 105分。
映倫区分 PG12。

※園子温とニコラス・ケイジと云うことで、評価☆加点0.5ポイントいたしてますので🙇‍♂️。

鬼才いや、変態・園子温監督が、ニコラス・キム・コッポラの本名を持つ俺たちの兄貴(の俺って誰?)のニコラス・ケイジを主演に迎えて描いたハリウッドデビュー作。
園子温は『ワイルド・アット・ハート』(1990)がお気に入りらしく、ニコラス・ケイジ映画と呼び、彼の作品にインスピレーションを与えたそうです。
共演にソフィア・ブテラ、ビル・モーズリー、監督として知られるニック・カサベテス。
日本からはTAK∴(坂口拓)、中屋柚香らが参加。
栗原類も出てたなぁ。

悪名高き銀行強盗ヒーローは、裏社会を牛耳るガバナーのもとを逃げ出した女バーニスを連れ戻すよう命じられる。
特殊なボディスーツに身を包んだヒーローは、東洋と西洋が混ざり合った美しくも暴力的な世界『ゴーストランド』にたどり着く。
混沌に包まれた町で、定められた時間内にバーニスを探し出すべく奔走するヒーローだったが。。。

賛否両論あったそうやけど、そんなこと全く知らず、この作品の存在すらさっき知って、借りてきて視聴開始。
今作品は、そのほとんどが侍の街が舞台になっていた。
実際の名前は失念した(どーでも良さそうですし)。
今作品には、多くの寓意や言及があり、非常に興味深いものですし、変態・園子温監督による想像力もよくできていました。
正直、今作品は、荒唐無稽なものになるやろうと覚悟はしてたけど、それは裏切らないものやけど、ワケがわからなく所がしばしばありました。
期待していたような形やないのがチョイ残念かな。
まず、今作品は西部劇と、その基礎となる侍の物語にオマージュを捧げているということかな。
それらを面白い形で組み合わせている(いや、見る人が見たらオモロくは無いかも)。
個人的に、西部劇に過度に詳しいわけやないし、侍の映画も同上。
(小説は良く読んだが)。
西部劇がこのサブジャンルから、そして日本から無名のヒーローを採用したことはわかる。
ケイジのキャラがヒーローと名付けられたのは、ここでの直接の言及である。
西部劇によくあるよう、彼はイカれ具合が多々ある欠点キャラで、これは彼のための贖罪の物語でした。
また、善きも悪くも伝統的なアイデアと現代的なアイデアが混在してた。
まぁこれは、ある人の眠りの中の夢なんやと云われたら、こないな荒唐無稽な話しも無いことなないし、受け入れれはするかな。
先日、小生も悪霊と闘い、見事👻→👼成仏させた。
夢の話ですが。。。
目が覚めたとき、何故かガッツポーズしてた☺️
さてお話しに戻り、
総督は白人で、彼は資本家としてこの町を支配している。
西部劇では、金持ちが物事を動かすのが普通やったそうやし、何となくそれはわかります。
ヤスジロー(TAK∴)は、スージーのせいで彼の護衛をさせられている侍で、少なくとも彼女はそう思っている。
さらに、保安官のタカトと保安官代理のシンは、ほとんどカウボーイの軍隊のように知事に傅いてる。
もうひとつ印象的やったのは、西部の町でありながら、芸者がいること。
日本の建築様式と融合しているのもオモロイのはオモロイ(個人的には)。
しかし、日本の文化に造形ある海外の人には、視覚的にも面白い作品やと思いますが、日本人には滑稽の骨頂かも。
また、この作品には興味をそそられる社会的なコメントがあったのは園子温らしいかな。
今作品が資本主義について発言していることは、今作品を視聴されたらピンとくるとは思います。
ヒーローとサイコは貧乏やし、銀行を襲う。
総督は、ゼニ(お金)でこの町を支配していて、彼は最初から悪党です。
そやけども、善と悪の境界線を曖昧にしようとしているところは好意を持てた。
ヒーローは人を殺したが、正しいことをしたと思いたい。
総督とサイコはもっとクソ。
でも、総督は最初のうちは中立的な立場をとってる。
今作品は、そんなことを無視してもいいくらいに、微妙な距離感を保っていました。
もうひとつの解釈は、原発の考え方で、武器の使用とともに、原子力発電に反対を表明しているように見えなくはない。
メルトダウンした発電所があり、その廃棄物の保管方法が問題になった。
これもまた資本主義に帰結するんかな。
これは、かなり前にメルトダウンした原子力発電所や、第二次世界大戦の原爆投下の影響もあるのではと推測できる。
作中の街でみんなを捕らえている悪魔は、有毒廃棄物の影響を受けて、今のような姿になった。
このアイデアは、無理にこじつけたら『悪魔の毒々モンスター』のような雰囲気もある。
これで、十分にストーリーを分解できたと😊んじゃないかな。
あとは、それをどう伝えるか。
園監督と谷川創平さんのコンビで、見せながら伝えることができてるんじゃないかな。
夢のような、シュールな映像で。
何が現実で、何が現実でないのか、わからなくなることが何度もありました。
血の描写も悪くなかったし、クライマックスになるにつれて、荒々しくる。
それはさておき、サウンドトラックが必要なものに適合していたと云えると思います。
日本の町の雰囲気も出しつつ、シーンに合った曲も混ぜていました。
それから、演技面では、ニコラス・ケイジは個人的に興味深い俳優で、彼はイカれ具合B級感ある作品には巧みな俳優と思いますが、適切な監督が必要なんかなぁと近頃そう思う。
園監督は、今作品やと、ほとんどの場合、彼を抑制することができたんちゃうかな。
でも、ちょっと演技が過剰でイマイチ乗れんかった。
園子温監督の作品は好きなものが多いし、絶賛を贈りたいとこやけど、だからといって、この映画が嫌いだというわけではないんやけど、嵌まれなかったかな。
もしかしたら、園子温とニコラス・ケイジの名前がなきゃ、リー即で消してたかも。
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