ぼのご

漁港の肉子ちゃんのぼのごのレビュー・感想・評価

漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)
4.5
苦労に苦労を重ねて生きてきた肉子ちゃん。壮絶な人生だけど、朗らかな性格は一切ブレることがなく、つらい経験をしているだけ人の痛みにも敏感でめちゃくちゃ優しい。子どものキクコちゃんも大人の事情に振り回され続けた結果、誰よりも気を遣う子になっていた。

相手を思い遣れる人、優しい人は好きだけど、そうなった背景を考えると切なくなる。最初から普通の枠の中で生きられたなら、身につくことも無かったものというか。しかもその優しさや繊細さが原因で、より一層傷付くこともあるんだと思う。でも僕はやっぱりそういう人の方が大好き。それで肉子ちゃんとキクコちゃんが行き着いた先が、焼肉屋のおじさんとか二宮とかの理解者の居るこの漁港で本当に良かった。

生き物が喋っているのがキクコちゃんの独り言だったっていうのが、軽く衝撃でおかしかった。変顔するのが気持ち良いとかの感覚もなんだかよくわかる。世間から見たら変な奴扱いされる感覚が、疎外されて生きづらさに繋がってしまう場合もあるけど、時には自分の中でちょっとした救いにもなったりする。周りに無理に合わせないで、そのままの感性で生きていてほしいなぁ。

美術も素晴らしかった。田舎町のほのぼのとした風景が素敵。ことぶきセンターのデザインも神秘的な感じで印象に残った。実際に田舎町であんな建物に出食わしたらビビる笑
食事の場面もとっても美味しそうだった。好きな人たちと触れ合ったりお気に入りの景色を見たり、美味しい物を食べたり、日常を大切にして丁寧に生きることが出来たら最高だなぁ。
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