はる

レッド・スネイクのはるのレビュー・感想・評価

レッド・スネイク(2019年製作の映画)
4.2
女に殺されると天国に行けないと信じるイスラム過激派の考え方を逆手にとった、女性だけの特殊部隊。実話を基にした戦場アクションです。

これ、パッと見はB級アクション映画のようですが、2014年、過激派組織イスラム国(ISIS)によって大量虐殺された少数民族ヤジディ教徒の事が描かれています。
主人公ザラが誘拐されて性的奴隷となり、決死の覚悟で逃げ出すまでの過程はかなり事実に近いものと思われます。
いや、ザラはまだ運が良い方で、事実はもっと酷いものだったかも知れませんが。


ノーベル平和賞を受賞したヤジディ教徒の活動家で、自身も奴隷にされた経験を持つナディア・ムラードさんの著書『THE LAST GIRL』を読んで、関連映画を探していた時に見つけました。

この宗教迫害では、男と高齢女性は殺され、若い女性は性的奴隷に、思春期に達していない女の子でも性交に適しているとみなされれば奴隷にされます。少年は洗脳されて自爆テロなどの要員にされました。
幼い子どもは母親と一緒にいる事を許されましたが、そうやって5000人が殺され、今も数千人が行方不明になったままです。

もちろん、本では武力での復讐ではなく、法の裁きを訴えています。
報復の仕方は映画と本とでは違っていますが、銃弾より深い傷を負ったヤジディ教徒の人々を映像としても頭に焼き付ける事が出来ました。
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