菩薩

あいつと私の菩薩のレビュー・感想・評価

あいつと私(1961年製作の映画)
3.5
随分とおハイソな私大ボーイ&ガールズの哲学的・観念的かつアカデミックな台詞の応酬にちと引いてしまうが、三島vs全共闘なんかもそうだが、かつての「大学生」は確かにこの様に有意義に日本語を操っていた様に思うし、そうしてエリート意識を鼻にかけつつも社会の上の方に君臨していたのではないか。それが良いか悪いかは別として、門戸も裾野も広がり過ぎが故の低レベル化もちと考えものかもしれん。とは言え彼等もたかだか大学生であり、専らの関心は下半身のこと、あの芦川いづみ嬢の口からやれSEXやら男性器なんてワードまで飛び出るのだから困ってしまう。しかもモデル(と言うかロケ地)はかのKO大学、その点だけは悪名高きミスターおちんぽ君も見事に継承したと言えるのではないか(いつまでも金で済むと思うなよクソが)。実際彼と同じ手口により貞操を奪われる被害者まで出て来る始末、嫌だねぇまったく…。ただ映画としては…どうなのだろう、確かに「モダン」ではあるが、石原裕ちゃんのスター性が悪い方に働きこの作品の利点とも言えるケレン味が薄まってしまっている気がする。逆に小沢昭一の居心地の悪さの方がしっくり来るほどだ。しかも結局のところ何がテーマなのかがさっぱり分からない。安保闘争も出て来るしこれも一つの新たな時代と若者の肖像なのかもしれないが、最後は裕次郎・いづみの強引な恋愛物語で終わってしまう。まぁ原作物だし、芦川いづみはべらぼうに可愛いしでそれ以上も以下も無いのだが…。クロンボと名のつく喫茶店が出てくる割には「キチガイ」の台詞はしっかり処理されていた、NHKだからか?線引きが謎だ。
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