田山信行

REVENGE リベンジ 鮮血の狩人の田山信行のレビュー・感想・評価

REVENGE リベンジ 鮮血の狩人(2020年製作の映画)
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元々のリベンジの血みどろな過激さとはぜんぜん違う毛色だけどこれは面白い。
アメリカらしい明快なジャンルものとして作られていた前作よりも独自色強くて良い。ベルギー映画?

物語の動線的な導き方が上手くて、基本は森の中での殺人鬼からの逃亡劇ではあるが単純ではない予想外の盛り込み具合で最後まで展開が読めない。冒頭の少女とオオカミの寓話もちゃんと効いていて。

舞台とした森も低予算だからというお手軽さで選んだのではない。得体の知れない奥深さの中で孕んでいく狂気、発露していく攻撃性。人間を飲み込む強大な自然の臭気が匂ってくる様な存在感がある。

リベンジものとしてのカタルシスはない作風なので前作までの流れで観ると期待と違うか。単体の作品としても売り込めたとも思うけど既にヒットしたシリーズに連ねた方が視聴数稼げるのかねぇ。はてさて。

ネタバレを踏まずの事前情報程度でも制作国が違うだの実際はシリーズ関連作ではないことぐらいは分かるので、そこから頭を切り替えて観れるか、自分自身できっちり本質を捉えて観るかで全然違うだろう。メーカーがどう売りたいかが本質を捉えているものとは限らない。良い裏切りで素晴らしい拾い物だった。なんなら一番好きかも。
田山信行

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