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14歳の栞のkiyotaのレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.2
当たり前のことだけどレイヤーの違ういろんな人がそれぞれの時間軸の中で生きている。本来なら交わることはない人たちが、一つの教室に押し込められて3年間同じ時間を過ごすことを強いられる。それが中学の義務教育の時間だと思う。この映画は端的にそれを見せてくれる。

内容自体についてとやかく言うつもりはなく、この企画をやろうとしたこと、それを受け入れたことに敬意を表したい。すごい。

自分の考えと視点と能力と立ち位置と自己評価と、ノイズとも言える感情や偏見、人間関係、プライド、恥、虚栄心が絡み合ってそこにある。そのざわつきを、どんな形にせよここに収めたことには確かに意義があると思う。

人がいれば、そこにドラマや物語が生まれるわけではなく、人がいれば、そこにはただ人がいるのであり、それは我々が生きる日常でしかなく、それはこんなにも人を惹きつけるんだと、我々が知っている以上にこの作品は雄弁だったと感じる。この時期だったから?それはもちろんあるけど"どの瞬間"も"その時期"でしかありえない。

EDはやや気になったけどこれでいいのだ。14歳の彼らの主題歌なのだから。僕の頭の中にはサニーデイサービスが流れた。

ナレーションがYOUさんなのはきっとそういうことなのだろう

(余談)
劇場の観客の層がバラバラなのも面白かった。中年夫婦、若い女子2人、若い女性1人、カップル、中年男性1人、若年男性1人、30代くらいの女性2人組などがいた。みんなどの経路からどの興味でこの映画を見に来るんだろう。そして何を思うんだろう。など
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