【現実が最悪な終わり方をしているなら虚構は...】 世界が日に日に終わりに近づきつつある。それも、よくあるディザスター映画のように強烈な一撃で世界は終わるのではなく、ヌルッと死が近づき、国が白旗をあげているような状態。まさしく、アベル・フェラーラ『4:44 地球最期の日』のような終末を迎えている。映画ももはや現実が虚構を超えてしまっている。では、そんな世界に対する正しいディザスター映画はなんだろうか?虚構で人々の心を癒す世界とはどういったものなのだろうか?新型コロナウイルスがまだ少しも分析されておらず国際的に大きく混乱していた2020年の夏に撮影された『How It Ends』は私に鎮痛剤としての虚構を魅せてくれました。
『How It Ends』は現実の混沌を知っている以上あまりにも楽観的すぎる。人々は、地球最期の日に思い思いのことをしている。ある者はだだっ広い空間でラジカセから流れる音楽に合わせて踊っている。ある者は謎の石に手を当てて、最期の占いに励んでいる。主人公は、地球最期の日だというのに呑気にむにゃむにゃしながら起床し、パンケーキを沢山むしゃむしゃと平らげる。通りには人気がいない。深刻なニュースも画面には登場しないのだ。