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秘密の森の、その向こうのEDENのネタバレレビュー・内容・結末

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

10/16/2022

アホなほど泣いた。

日曜の午後、連続で2回観た。マスク2枚予備で持っててよかった。

1回目はところどころ言葉を追えなかった。
それなのに (2回目観て思ったけど、それだからこそ)、途中、「未来の音楽」が流れるところ、ラスト、「マリオン」「ネリー」、そして「未来の音楽」の歌詞。

私はすぐ泣いてしまうので、映画を観て泣かないことの方が少ないけど、ほぼ全編ずっと泣いていたカモンカモンさえ、じんわりした涙だったけど、この映画は、静かでいるのがつらい涙だった。子供みたいにわんわん泣きたくなった。もちろんそんなことしなかったけど。

セリーヌシアマの映画はどれも、パンっと叩かれたような涙がでてしまう。「なにかを感じて、だから泣いている」ということを理解する時間もないまま、つまり訳もわからず、涙が出てくる。Girlhoodでも、そうだった。そういう意味で、1回目、ところどころ文脈を探りながら、「”理解している”と思わないまま」観ていたのは、ある意味よかったというか、貴重な体験だったんだと思う。

ネリーとマリオンみたいに、私も8歳のとき、8歳の母と同じ時間を過ごせたら。
私は母に対して、For I am all that I am because of all that you are. と思っているから尚更。ああ今こうして書いていてまた涙が出てきてしまう。

2回目は、まず、「昔の壁紙だ」とか、ノートとか、杖で、初めからClueがたくさんあったことに気づけたこと (というか、1回目そのClueに気づかなかったんかい自分)がよかった。

ご飯を食べる音、歯を磨く音、そういう、毎日生きている証拠の音がはっきり聞こえてくること、それもまた素晴らしい。

セリーヌシアマは、また脚本が天才だと思う。「相手にこう思わせたい」みたいな言葉の使い方をしていない 、と少なくとも私は感じる。(観客という意味の “相手” もそうだけど、映画の中で言葉が発されている相手という意味の “相手”という意味でも)

「未来から来たの?」「後ろの道から」がまたいい。
あと、「帰ってこなかったらどうする?」というマリオンのどっちにも捉えられる言葉があり、そのあとネリーが「大丈夫」的なことをいう (手術で大丈夫なことを知ってるから)。だけど、「あなたのママが」で、ひとつ前の言葉の意味が変わる。

誕生日の歌、もう一回、というのも、もう素晴らしいとしか言いようがない。

私は子供という存在を奇跡だと思ってるから、スクリーンいっぱいの彼女たちの、そしてこんな全面的に生命を祝福している映画もまた、奇跡だと思える。

映画が終わり、「未来の音楽」を聴こうと思ったら、ただ映画の中で未来の音楽と言われているだけでなく、これは、Para Oneという方が手がけた、「未来の音楽」という名の曲で、この「未来」は、ただ時系列的な未来でなく、まさに子供のことを指しているのだとわかり、さらにまた泣く。

Para One は、Girlhoodや、Portrait of a lady on fire の曲も手がけている人らしい。もっと色々聴いてみよう。

秋の午後の光、夕方の暖かい、そして熱いほどの光。
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