柏エシディシ

ボーはおそれているの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.0
アリ・アスターの新作。
最近個人的に観た映画ではウェルズ「審判」、スコセッシ「アフターアワーズ」を想起させられた所謂"地獄巡りツアーもの"の系譜。
近年だと「アンダーザシルバーレイク」とかが好きかなー。
どこからどこまでが夢か現か幻か。
まぁそこはアリ・アスターですから、徹底的におぞましくて厭な感じ。
そして、なんだか笑えてしまう。
特に序盤は出来の悪いカートゥーンみたいな展開の鶴瓶打ちでニヤニヤ観ていたのだけれど…しかし段々、笑えない展開に。
"Gultiy"罪悪感。母子家庭育ちの自分には実にキツ過ぎた。
過去2作と同様、アリ・アスターのごく個人的な体験やトラウマを遠慮なくぶちこんでいるとも思われ、ホント、そんなこと言っちゃ(映画にしちゃ)オシマイよ?な劇薬。
でも、映画というカタチに昇華し、少なくない人たちに共有される事によって、共感を寄せる一部の観客や同じぐらい忌避感を感じる多くの観客、そして作り手自身も解放される何かがあるのかもしれない。
めちゃくちゃ厭な映画なのに独特なカタルシスをアリアスターの映画は持っている。魅力というか魔力。
しかし今回は、過去2本のアリアスター作品と比較して、めちゃくちゃなお話なのに、いちいちフックの強い面白い映画としても消化出来てしまう圧倒的な演出力や構成力から今回は逸脱していて、いつもの狂っているけれど冷静に狂っている(から怖い)感じがやや後退しており、映画としての完成度はやや低いとは思った。
やっぱり冗長かなぁ
あと、パーカー・ポージーに酷い事したことはいちファンとして許せんw
柏エシディシ

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