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歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡のyabaioriのレビュー・感想・評価

3.0
作品の冒頭では『パタゴニア』の有名な冒頭(ブロントサウルスの毛皮のくだり)が参照され、チャトウィンという亡き友についての探求がそれ自体、失われたものに対する探求、それも必然的に幻想や憧憬をはらまずにはいない、そうしたものとして自らの心の奥深くへの遡行でもあるような探求として、チャトウィン自身がその旅行記において試みたことと重ねられる。
結構ヘルツォークの過去作への言及・抜粋があり、チャトウィンのファンよりはヘルツォークのファン向け。しかしヘルツォークという映画作家は亡き友への哀惜にみちたオマージュという身振りがとれないのではないか、被写体を珍奇なもの――小人、狂人、怪物――としてしか見ることができないのではないのかという疑念が残る。
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