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ヴォイジャーのkazataのレビュー・感想・評価

ヴォイジャー(2021年製作の映画)
3.0
ジェイソン・ライトマン監督作『ステイ・コネクテッド』の時にも言ったけど、自分は"ボイジャー計画大好き人間"なので(本作とは直接関係無いけど…)……(公開直後からすこぶる評判悪いけど…)去年から待ち望んでいたタイ(シェリダン)くん主演のSF映画をウォッチ!

"孫の代になったら到着できる"ほどの距離(=移動時間が約85年間)にある新惑星への入植計画のために、人工的に生み出された少年少女達が宇宙船で旅をする物語なんだけども……「十五少年漂流記」や「蝿の王」的なお馴染み展開に「わたしを離さないで」的なアイデンティティ問題を匂わせ程度にちょい足ししたSF映画って感じ。

ん〜、個人的には『惑星ソラリス』(当然タルコフスキー監督版の方)や『2001年宇宙の旅』みたいな哲学系SFと、思春期だからこその"アイデンティティ探求&形成過程の話"が組み合わさった展開こそが見たかったところだけども……

でも、まぁこれはこれで「性衝動と暴力衝動の類似性についてのあれこれ」「憎悪感情の背景にある恐怖という考察」「知性主義vs反知性主義バトル」「暴走する集団心理の恐ろしさ」……みたいな現代社会の問題点を凝縮して描こうとする努力は伝わってきたから、それなりに面白く見ることができました。
("タイくん史観"で言えば『プリズン・エクスペリメント』系の集団実験モノに近い感じかと…)

(予算の都合上だろうけど…)船外ミッション描写も最低限だし、予告で期待したような"若気の至りが大暴走"展開もソコソコまともな範疇だったのが残念なのと、仲間の死に対する感情の変化をもっとわかりやすく描いて欲しかったかな。
(そのせいで見ているこっちも全く心が動かされないし、無常感も感じられないという…)
(あと、やっぱりSF映画は映画館の大スクリーンで見てこそだと再認識…)


(予告でも使われてるからネタバレじゃないよね…↓)

冒頭の"精子が卵子に到達して生命誕生"というミクロ世界の映像が、ある意味で壮大なラストシーンのフリになっていたことがわかって「おぉ〜」と一瞬なるんだけど、同時に「いやいや、まだその先わかんなくない?」「もしかしたら自己満の極みになっちゃうかもよ?」と心配ごとも噴出……な冷笑系ラストが脱力でした。。。
(あと、冒頭のフリを生かすなら途中のラブ&セックスシーンは避けずにちゃんと描くべき!!)
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