Jonayama

アンホーリー 忌まわしき聖地のJonayamaのレビュー・感想・評価

3.8
1983年の小説を原作とする超常現象ホラー。


1845年、マサチューセッツ州バンフィールドの村にて魔術を行った咎でメアリー・エルノアという女性がオークの木に吊るされ生きながらに焼かれて処刑された。
彼女の遺灰は魂と共に人形の中へと封じられ、木の根元にしまわれたまま175年の月日が流れた。

そして現代、既に夢も色褪せたジャーナリストのジェリーは仕事の帰り道、聾唖のはずの少女アリスがオークの木の下で何かに語りかける様子を目撃する。
翌日から完全に聴力を取り戻し話せるようになった彼女は聖母マリアのおかげだと宣言し、村の者達の病を治すなど奇跡を起こすようになる。
アリスの奇跡は世界中に知られることとなりバチカンから聖地認定に向けた調査が入るほどになるが、その奇跡の裏には恐ろしい存在が隠れていた…



『ウォッチメン』や『ウォーキング・デッド』などで強烈な印象を残したジェフリー・ディーン・モーガンを主演に据えた悪霊憑き系映画で低予算ながらも手堅い作りによる佳作ホラーに仕上がっている。
恐ろしいシーンはさほど多くはなく時折挿入されるジャンプスケア(ニガテなんだよな〜汗)を除けば不吉な予感を感じさせる空気感の形成に注力した方向性の作品だと言えるだろう。

プロット自体は封じられた悪霊が蘇り"偽預言者"として人々を取り込もうと画策するという真新しさはない題材ではあるものの、比較的テンポ良く進むシナリオ運びや出演者による演技がうまく作用していて暗く寒々しいトーンの悪魔憑きモノだがどこかキャッチーで観やすい作り。
心なしかやりすぎない程度に見栄えのいいキャスティングをしたように思える(笑)


枯れてるのにギラギラしたアウトロー的な魅力が滲み出るジェフリーはやっぱり最高。今回は悪役ではないが邪な性根を抱えつつも内なる良心に従って奮闘するいいキャラクターを演じていたと思う。
アリスを演じた新進気鋭のクリケット・ブラウン(向こうでは"コオロギ"が名前になるのかw)は大々的にフォーカスされる大役をうまくこなしていてこれまた素晴らしい。
『ソウ』や『Xファイル』がなつかしい司教役のケイリー・エルウィスや司祭役のイケメンディオゴ・モルガノ、そして悲運の神父役のウィリアム・サドラーなど印象的な役者陣の活躍が本作を盛り立てる。
そして『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』でリサ・トレヴァーを好演したダンサーのマリナ・マゼーパも悪霊化したメアリー・エルノアをその身体能力を活かした異様な身のこなしで見事に表現している。今後この枠でぜひ活躍してもらいたい人だ。


またジェームズ・ワン関連の作品を中心にホラー映画のスコアで素晴らしい仕事をし続けるジョセフ・ビシャラのサントラは今回やや控えめではあるがさすがの安定感。エンドクレジットもしっかり怖がらせてくれて善し。

超余談だが耳が聴こえるようになったアリスのプレイヤーからアシュレイ・ティスデイルの近作"Voices In My Head"がちょっとだけだが流れるシーンがあって嬉しいw


反面、観ていると時々悪い意味で気になる演出や粗などが見受けられるものの低予算のB級映画という枠組みの中で比較的健闘している一本であるのは間違いない。
傑作とはいわないまでも悪魔憑き映画が観たいなら決して損はさせない作品だと思う。楽しかった。






そういえば奇跡のシーンなどで2〜3回くらい画面に映る赤みがかかったブロンドの女優さん、なんて方なんだろ?
クレジットにないけどキレイで目を惹く方だった。。
Jonayama

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