むぅ

先生、私の隣に座っていただけませんか?のむぅのレビュー・感想・評価

3.5
「さぁ〜て、どこから突っ込もうかな?」
(来週のサザエさんは?調です)


「不倫してるんですか?」
「......むぅってコナン?」
「コナン観たことないです」
「非国民!」
「どの口が言った?」
「...すみません」
よく行っていたバーで"薔薇" "檸檬"が書けるかという話題になった。お隣に座っていた男性がサラサラっとレシートの裏に書いた。
「おおっ!」
である。しかも字が綺麗。
が、問題はその表側の明細。
何気なく見てもう一瞬でわかる。
知らんぷりをする程には遠くはなく、真剣に問い詰めたい程には近くもなく、酔うとまぁ異性に対してダラしない面を多々見てきた方だったので突っ込む事にした。

「深夜の都内のコンビニ。もうこっちに帰ってくる終電はない時間。缶チューハイと水とおにぎり各2名分の量、タバコ2種類。もうこれからどこ行くか明白」
「...うっ」
「コンビニの場所的に道玄坂が近いですね。あ、しかもこのタバコの銘柄、この前連れてきた部下と同じですね」
「....むぅってコナン?」
コナンに失礼である。

「さぁ〜て、◯◯さんの行く末は?
・薔薇とか檸檬とか書いてる場合じゃない
・地元のバーに不倫相手連れてくるとか正気の沙汰ではない
・この不倫、多分ご家庭にも職場にもバレてますよ
ってとこですかねー」
「今日、奢ります!」
「結構です!」
「泣きたい!」
「泣く権利ない!」
「ごめんなさい!」
「謝る相手が違います!」

「むぅ!その辺で!他にも何人か下向き出したから!」
とのバーテンダーの声で、彼曰く〈恐怖の予告編〉は終わりを告げCM的世間話にその場は移行した。

久しぶりに先週駅で会った。
で、この作品を観ることにした。


漫画家 佐和子の新作漫画のテーマは「不倫」
そこには自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、心当たりのある夫は「もしかしたらバレている?」と追い詰められていく。
しかもそこに描かれているのは、自分のことだけではなくて...。

漫画、現実、それとも?と話が交差し、つかみは抜群だった。
しかも、この配役、素晴らしい。
黒木華と柄本佑、この2人じゃなければ「んっ?」と現実に引き戻されそうなところを、シリアスとコミカルの狭間で攻めてくる。
そして奈緒。
同性が敏感にキャッチする〈危険な周波数〉を出すのが上手い。
そしてその周波数が、異性にはさぞかしクリアに聞こえるんだろうと上塗りしてくる目と声が良い。

柄本佑演じる俊夫に突っ込むならば
・そんなに汗かくなら、しなきゃいいのに
・近場でする不倫ほど代償は大きくなっていく
・うそ〜ん、だけど頑張って
といった所だろうか。



何事においても
「した方は忘れても、された方は忘れない」

先生、定期的にテストに出して頂けませんか?
むぅ

むぅ