ぶみ

シン・仮面ライダーのぶみのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.5
孤高。継承。信頼。

庵野秀明監督、脚本、池松壮亮、浜辺美波、柄本佑等の共演によるアクションで、石ノ森章太郎による『仮面ライダーシリーズ』のリブート。
世界征服を企む組織「SHOCKER」に対峙する仮面ライダーこと本郷猛等の姿を描く。
仮面ライダーに関しては、登場した頃は流石にリアルタイム世代ではなく、再放送で少々かじった程度。
しかし、今は高校生となる息子が幼少の頃にやっていた平成ライダーである『オーズ』で、その世界観とガジェットにハマり、以降『フォーゼ』『ウィザード』は毎週録画していたと同時に、私の収集癖が発動し、ベルトはもちろん、オーメダル、アストロスイッチ、ウィザードリングをコンプリートした次第。
本作品では、仮面ライダーとなる本郷を池松、彼と行動をともにするルリ子を浜辺、仮面ライダー2号となる一文字隼人を柄本が演じているほか、塚本晋也、松尾スズキ、手塚とおる、西野七瀬、本郷奏多、長澤まさみ、森山未來、斎藤工、竹野内豊等が登場。
物語は、基本様々な昆虫や動物をベースとした○○オーグと呼ばれる怪物に次から次へと本郷とルリ子が対峙していく様が描かれるが、その展開を含め、シーンの切り替わりや、特撮アクションの繋ぎが目まぐるしく、結果、小気味良いテンポとなっている。
評価が分かれるポイントとしては、本作品に対して何を期待しているかであり、最先端のCGやVFXを駆使した何でもありなハリウッド作品のような映像を期待すると、壮大な肩透かしを食ってしまうが、そうではなく、あくまでも昭和ライダーに対するオマージュと敬意に重きを置き、特撮アクションも当時の雰囲気を醸し出したものと理解すれば、チープ感溢れるCGや、全体像を見せない特撮シーンも、あえてそうしたのではと理解でき、これはこれで悪くないし、裏を返せば、仮面ライダーが登場しないようなアクションシーンでは、きっちりクオリティの高い映像を持ってくるのも憎いところ。
そこに、これまた狙ったと思われる全体的に棒読み気味な台詞や、意味不明だけど科学的らしきカタカナのオンパレードが加わると、何だか心地良くなってくるのだから、不思議なもの。
知識ほぼなしで観た『シン・ウルトラマン』では、一人置いてきぼりとなり、まったく楽しめなかったが、やはりある程度思い入れがあると、好きも嫌いも含めて、何かしら感情が湧いてくることを体感できるとともに、一般人がほぼ登場しないディストピア感と、日本の風景を、ただひたすら美しく撮ろうとした映像の拘りが伝わってくる一作。

マフラーの話は直接言いたいな。
ぶみ

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